2012 Fiscal Year Annual Research Report
非食糧バイオマスからの光学活性乳酸生産:産業微生物としてのスーパー乳酸菌の検証
Project/Area Number |
12F02088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園元 謙二 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDEL-RAHMAN M.A. 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 光学活性乳酸 / 乳酸発酵 / Enterococcus mundtii QU25 / 開放反復回分発酵 / 高温発酵 / L-乳酸 / 産業微生物 / スーパー乳酸菌 |
Research Abstract |
「開放系」又は「非滅菌」は、生産のために用いる培地を滅菌しないこと、回分式で乳酸を生産する場合に、ある回分培養から次の回分培養への引き継ぎの無菌条件下での実施を要しないことを含む。開放又は非滅菌生産系は(i)滅菌中のメイラード反応が回避可能であり;(ii)装置の必要性及びエネルギー消費を低下させることも可能であり;そして(iii)工程を単純化し、労力を省くことも可能である。さらに、反復回分(repeatedbatch)操作は、回分式と比較して、時間及び労力両方の点で節約につながる。これらには、発酵槽の洗浄及び滅菌に必要な時間がより少ないこと、シードを調製する時間が省略できること、増殖率が高いこと、そして初期の菌体接種体積が大きいため、本培養時間が短いことが含まれる。 Enterococcus mundtii QU 25は43℃が最適な発酵温度を示す高温発酵菌である。このことより、43℃で培地など滅菌せずに、開放反復回分発酵によるグルコースからのL-乳酸生産について検証した。11回の反復回分培養の結果、雑菌汚染は観察されず、乳酸生産性は通常の回分培養のもの(約2.0g/L/h)の約5.5倍となり、操作安定性も優れていた。また、乳酸収率や生成乳酸の光学純度は0.761-0.832g/g、99.0%以上と変化がなかった。さらに、この発酵期間の最大乳酸濃度は132g/Lであった。 本実施例のデータは、光学活性乳酸の生産に関して、乳酸菌を用いた反復開放回分の能力を立証する最初の報告である。QU25株を用いた開放反復回分は、発酵能のいかなる喪失も伴わずに11周期に関して成功裡に実行された。開放系及び反復回分操作を組み合わせることによって、さらにエネルギー効率が優れ、労力及び時間が節約されたより現実的な工業的発酵生産プロセスを確立できることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の作成段階で、予想される問題点を明確にしていたことと、数値目標を定め多方面からの検討を柔軟に行ったことが順調に進展する結果となった。また、研究代表者と分担者が互いの専門領域で柔軟に対処したことも大きな要因と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)開放反復回分発酵に成功したので、連続発酵に取り組む。 (2)6炭糖と5炭糖から成る混合糖において、カタボライト抑制を伴わず、高収率で、かつ流加培養などによって高濃度L-乳酸生産が可能な発酵プロセスの検証を試みる。 (3)様々な非食糧バイオマスを入手し、実験室規模の実証試験を行う。その際、特に、含有が予測される物質の発酵阻害や発酵遅延などの検証が行う。また、発酵のスケールアップ効果を検証する。 (4)QU25株の全ゲノム解読がほぼ終了し、遺伝子解析を進めている(約3.27 Mbp)。L-乳酸の高収率最適条件にとって重要な遺伝子群および関連酵素群の探索を行う。特に、混合糖での代謝発酵制御系および関連遺伝子をリアルタイムPCRで探索することは必須である。
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Research Products
(12 results)