2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸性土壌に適応した植物・微生物共生系の窒素代謝とアルミニウム耐性
Project/Area Number |
12F02096
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
砂入 道夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO XueQiang 日本大学, 生物資源科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸性土壌適応機構 / アルミニウム耐性 / 植物・微生物共生系 / ポストゲノミックス / Rhodotorula酵母 / 窒素代謝 / 脂質 / ゲノム |
Research Abstract |
酸性土壌に適応した植物・微生物共生系の窒素代謝とアルミニウム耐性は、Zhao博士が中国で進めている研究テーマ、イネのアルミニウム障害と窒素源の関係に関する研究と、受入研究者が進めてきた酸性土壌適応植物における共生微生物の酸性土壌適応への役割に関するゲノミックスおよびポストゲノミックス的研究を発展的に統合させたもので、イネを植物だけでなく、植物・微生物共生系として捉え直し、根圏における窒素代謝とアルミニウム毒性への宿主植物と共生微生物の相互作用に網羅的な検討を加えるものである。本年度は真核微生物であるにもかかわらず世代時間が短く、単細胞であるために生化学、遺伝学、各種オミックス実験が容易な酵母に着目し、Rhodotorula酵母の高濃度アルミニウム耐性機構の検討を行った。同酵母はアルミニウム存在下に細胞表層の厚みが増すこと、細胞に取り込まれたアルミニウムイオンの多くは細胞表層に存在することを明らかにした。さらにRhodotorula酵母のゲノムのドラフト解析を行った。他の研究者によりRhodotorula酵母のトコンドリアがアルミニウム耐性に関与していることが示唆されていることから、Rhodotorula酵母ミトコンドリアゲノムの全決定と詳細なアノテーションを行った。これらのゲノム情報はRhodotorula酵母のアルミニウム耐性機構検討のための基盤となる。窒素源がRodotorula酵母のアルミニウム耐性に与える影響を解析した結果、硝酸を窒素源としたときに強い阻害を受けることが判明した。アルミニウムの細胞脂質に与える影響を解析した。得られたゲノム情報に基づき、これら窒素源や脂質のアルミニウム耐性への影響に関してポストゲノミックス研究を上記酵母の利点を生かして進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高濃度アルミニウム耐性Rhodotorula酵母を用いることによりゲノム情報に基づいた研究や生化学実験が容易になり、窒素代謝とアルミニウム耐性の解析が当初計画に比べて進展しており、学術論文も順調に刊行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた高濃度アルミニウム耐性Rhodotorula酵母のゲノム情報に基づき、同酵母のアルミニウム耐性に与える窒素源の影響を解析するとともに、脂質のアルミニウム耐性への関与に関してポストゲノミックス研究を進める。
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Research Products
(2 results)