2012 Fiscal Year Annual Research Report
無容器プロセッシングを用いた酸化物系準安定相及び物性の研究
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12F02208
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
石川 毅彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VIJAYA Kumar 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 無容器プロセッシング / 準安定相 / 酸化物 / 過冷却 |
Research Abstract |
本研究は、浮遊法による無容器プロセッシングを利用して、酸化物準安定相における準安定相創製メカニズムを明らかにするものである。本年度は、ガス浮遊炉を用いて以下の研究を進めた。 1)鉄一希土類酸化物系(R-Fe-O) 鉄系酸化物と希土類(R)系酸化物を原材料として、ガス浮遊炉を主に用いてこの系における準安定相探索を進めている。本系において、酸素分圧変化させて、過冷却状態から試料を急速凝固し、イオン半径の変化、それに伴う相選択および磁気物性との関係を実験的に調べた。酸素分圧の減少に伴って、斜方晶系RFeO_3から六方晶(準安定相)RFeO_3、Fe^<2+>を含んだRFe_2O_4、新規のR_3Fe_2O_7準安定相へと変化した。また、酸素分圧の減少に伴って融点が減少することも確認された。磁気物性においては、酸素分圧の減少に伴ってランタンおよびイッテリビウムでは飽和磁化率が上昇するのに対してルテチウムでは減少することが確認された。これはFe_3O_4やFeといった磁気相が生成されるためと考えられる。このことから低酸素分圧下においては準安定相形成にFe^<2+>の寄与が重要であり、酸素分圧の制御によって準安定相の創製を制御できることが示された。 2)ルテチウム-鉄-酸素系 LuFeO_3について高速度カメラを用いて過冷却からの凝固過程の観察を行った。本系では、過冷却状態から凝固開始時に準安定相が初相として出現した後に第2相が出現することが高速度カメラによる観察から明らかとなった。より詳細に過冷却からの急速凝固時の挙動を解明するため、SPring-8での実験を行った。その結果、準安定相の相出過程の詳細を明らかにすることができた。 さらに、加圧型静電浮遊炉の立ち上げを行い、カルシウムアルミネートの浮遊溶融を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス浮遊炉を利用して、酸化物準安定相の探索に成果を上げている。また、静電浮遊炉においても浮遊溶融を達成し、次年度の熱物性データの取得に関して見通しが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
静電浮遊炉を用いて、今年度に探索した酸化物について融体の熱物性データを取得する。その結果と準安定相の得やすさを比較して、準安定相探索指針について考察する。
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Research Products
(7 results)