2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02302
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
春山 成子 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HLAING K. T. 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ミヤンマー / イラワジデルタ / 環境変動 / 湿潤熱帯 / 土地利用 / 堆積学 / GIS / 気候変動 |
Research Abstract |
ミヤンマーの中部平原を形成しているイラワジ川流域の完新世の地形変化ならびに自然環境の変動の歴史について、完新世中期以降に照準にあわせて研究を行ってきた。この一年で、ニャンドン地点およびヘンサダ地点のオールコアボーリング堆積物からイラワジデルタの層序を明らかにし、河川堆積物から堆積速度を計算した。日本の河川と異なり、中期完新世における堆積速度が大きいことがわかった。また、イオン分析を行うことで完新世中期の溺れ谷の形成時期、浅海底であった時期を確定できた。デルタフロントの変化を古環境復元の指標として分析を進めた。これらの堆積学的な知見は国際誌である『地形学』に現在、投稿しており、査読結果を待っている。また、気候の異なるナイルデルタでの環境変動研究を行い、モンスーンの降水量の大きな偏差の地域、乾燥の厳しいデルタでの形成過程の差異について検討を始めている。モンスーンアジアの巨大河川の環境変動、別けてもミヤンマーの河川についての環境変動についてのシグナルを扱った研究は極めて少ないために、モンスーンの吹き出し口近傍での地域がどのように環境変動に組み込まれていくのかについて、この研究を通して明らかになりつつあるといえよう。よって、本研究の意義はローカルな環境変動の示唆のみならず、グローバルにみても湿潤熱帯と乾燥熱帯の空間位相差を考えるために重要である。当人の来日後に発生した他の研究プロジェクトとのジョイント研究を進めることにしたため、上記のナイルデルタ東部地域でのオールコアボーリング試料を分析することが可能となったために、ミヤンマーのボーリングコアと同様に完新世の中期以降の人間活動が極めて活発化する時期における王朝史の確立されたデルタの変容と湿潤熱帯のデルタの変容を比較研究することで、従来は不明であった東西の気候変動の偏差をこの研究で明らかにできる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年11月に来日後、勢力的に研究を推進し、2013年1月SLUAS国際ワークショップ、3月日本地理学会、2013年5月JPGU, 2013年8月京都国際地理学会、2014年1月SLUAS国際ワークショップ、2014年3月日本地理学会において、今回の研究内容の発表を行った。また、研究成果を国際誌「地形学」に投稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
イラワジ川流域の完新世の環境変化・古環境復元については、パテン地区のオールコアボーリングの分析結果を取りまとめており、3つのコアからイラワジデルタ全体の完新世での環境変化についての結果を取りまとめる予定である。また、デルタの水質の調査結果をこれらの堆積物分析結果と平行して議論しており、今まで理解が不十分であった完新世のデルタの地下水流動についての研究に展開しつつある。また、一方、巨大河川ナイル河のデルタ形成との違いなどとも比較しながら、異なる気候下におけるデルタ形成の速度と環境復元力の比較研究へと発展させており、最終年次の10月末までにこの成果を論文にとりまとめていきたい。また、イラワジデルタおよびマンダレー盆地の古環境復元のための堆積学的研究の推進のため、2014年7-8月に再度現地調査の可能性を考えており、デルタと中流地域の盆地の地形形成の位相についても分析を進めたい。これらの研究の成果は2014年4月末のJPGUで報告、2014年9月の日本地理学会で発表を行う予定である。
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Research Products
(7 results)