2012 Fiscal Year Annual Research Report
内モンゴルにおけるシャマニズムと民間医療に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
12F02307
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 中国内モンゴル / シャマニズム / 民間医療 / 文化人類学 / オルタナティブ医療 / 宗教政策 / 民族政策 / 医療衛生政策 |
Research Abstract |
中国内モンゴル東部地域においてシャマニズムが復活しつつある。本研究の目的は、多民族的社会主義中国の宗教政策、医療衛生政策、民族政策を視野にいれながら、民間医療と絡んでいるシャマニズム的各種儀礼を対象に、オルタナティブ医療と制度的医療衛生との間に発生する多元的医療の諸問題を文化人類学的に捉えることである。したがって、本研究は、中国において近代と伝統、大宗教と小宗教、漢文化と民族文化が交差するカテゴリーの中で続発する文化対立の諸問題を解決しようとする諸政策の本質と軌跡を学問的に解明することが強く求められるなか、内モンゴルを事例に、シャマニズムと民間医療に関する文化人類学的研究に新しい知見を提供することである。 本年度は研究計画通りに以下のような作業をおこなった。 まず、東京大学図書室、大阪大学図書館、国立国会図書館、国立民族学博物館図書室などの国内の諸施設において、オルタナティブ医療論、エスニシティ論、及びシャマニズム的治療に関する研究の最新情報を収集した。次に、海外において、内モンゴルにおけるオルタナティブ医療、医療衛生政策、民族政策、宗教政策に関する文献を渉猟する目的で、中国の国家図書館と北京大学図書館などの諸施設へ出張した。最後に、医学史、医療人類学及びシャマニズムをあつかった研究会に参加し、内モンゴルにおけるオルタナティブ医療、エスニシティ論、及びシャマニズム的治療などについて、得られた資料を取りまとめ学会発表をおこなった。 そして、以上の資料調査と学術交流で得られたデータを基に、(1)オルタナティブ医療とエスニシティ問題の関係性に注目した研究史を整理し、最新研究に対する分析をおこない、書評などを執筆した。(2)中国の民族医療衛生政策、民族政策、宗教政策などに関する文献を解読・分析したうえ、それらの政策が如何にして内モンゴルのシャマニズム、オルタナティブ医療、エスニシティ問題などに影響を与えたかを考察し、学術論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、国内外における資料調査を基に中国の各民族に対する宗教政策、医療衛生政策、民族政策などを、内モンゴルのシャマニズムと医療衛生を事例に考察することができた。次に、シャマニズム、オルタナティブ医療、及びそれらと関連したエスニシティ問題に関する最新の研究情報を得ることができた。最後に、学会発表を通じて本課題の研究意義と重要性に関する意見交換をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において、主に資料調査と研究の情報蒐集に集中したが、今後は以下のような研究活動をおこなう。まず、モンゴル国のダルハドやブリヤートの間でシャマニズムに関するフィールドワークをおこない、中国内モンゴルのオルタナティブ医療とシャマニズムを相対化することを目指す。次に、本研究の対象地域である内モンゴルのホルチンとフルンボイルのモンゴル系各民族のあいだで追加調査をおこない、今までまとめてきた資料調査の内容を確認する。最後に、シャマニズムとオルタナティブ医療に関する国内外の学会に参加し、国際的な学術レベルで議論をおこなう。
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Research Products
(2 results)