2012 Fiscal Year Annual Research Report
北米大陸へのアジア系移民の戦後的展開-帝国解体・内戦に伴うヒトの移動
Project/Area Number |
12F02311
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
浅野 豊美 中京大学, 国際教養学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Karl 中京大学, 国際教養学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | アジア系アメリカ人 / 移民 / 脱植民地化 / 引揚 / 帝国 / 韓国 / 満洲 / 台湾 |
Research Abstract |
北米・南米への第二次大戦後のアジア系移民の起源を実証的にたどるべく、台湾での資料収集、北米大陸におけるインタビュー関係者のリストアップ、南米移民に関係する研究会との連携作業を行った。 台湾では中華民国国家棺案館にて、いままで機密扱いされてきた国防部や外交部における日本人財産と日本人送還に関する政府報告書や接収関係記録を、一万ページ以上に渡って収集した。台湾における戦後の経済と社会関係の大変動を証拠付け、本省人の亡命・留学・移民の社会的背景を裏付けるものとして分析を深めていきたい。こうした文献の公開とデジタル化は、つい最近のことで、その中には製鉄所、造船所の引き渡しや、私有財産が接収された際の記録など、実際の所有関係の変動を裏付け、社会的変化を側面から証言する貴重な資料が含まれている。 日本人引揚者・台湾人移民者・外省人来台移住者など、戦後台湾をめぐる錯綜したヒトの移動に関与した様々な人々証言記録の収集を日本の国会図書館や台湾の国家図書館で進め、また、カナダ在住台湾人を中心に、重要な人物達へのインタビューを行った。 こうした問題意識をレビューすべく、日本語で出版した書籍の一部に問題意識をまとめて社会的問題提起を行うと同時に、アメリカのアジア学会にて英語での研究発表を行い、北米移民史において顕著な業績を上げている、在米日系人の東栄一郎先生ともパネルを組んだ。その際、アンドリュー・ゴードン先生や、ジョージ・タウン大学のサンド先生など、著名な日本研究者からコメントを得た。また、京都の国際日本文化研究センターにおける南米移民についての研究会に、二人ともにメンバーとして定期的に出席を認められ、日本の移民研究の成果を生かし適宜必要なレビューを受ける体制を築いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初期データとして、資料の目録が把握され、それに基づき重要な資料の一部が複写された。アメリカのアジア学会で報告の機会を得たことで、アメリカにおけるアジア研究者とのネットワークが拡大され、台湾の本省人・外省人の帰還・移民に伴う研究を専門に進めている研究者との間とも、カール氏との連携のおかげで信頼関係を築くことができた。当事者またはその親類への面談準備も順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
目録を通じて把握された資料の複写を、台湾を訪問することで、地道に進めていきたい。そのついでに、インタビューも進めていく。また、未公開資料の目録上の把握も進め、将来の公開に備える。謝金を使うことで、重要資料についてのデータ打ち込み作業を行っていく。南米移民についての研究会との連携を深め、南米をバイパスした北米へのアジア系移民の展開を把握するための方法について、その手がかりを得ていきたい。
|
Research Products
(2 results)