2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ振動、フレーバー対称性とコライダーの物理
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12F02323
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GE Shao-Feng 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 素粒子物理学 / 素粒子理論 / ニュートリノ / 原子炉ニュートリノ / 素粒子実験将来計画 / 大気ニュートリノ / ニュートリノ振動 / CP位相 |
Research Abstract |
初年度は、まず次世代の原子炉ニュートリノ振動実験、50km付近の基線長における振動パターンの精密測定でニュートリノ質量階層性を定める実験の可能性を検討した。昨年4月に共同研究を提案してからすぐに開始された共同研究の中で、階層性の決定のためには陽電子エネルギーの精密測定が不可欠で、現在の測定器の倍精度の測定が必要であることがわかったので、測定精度と最適基線長との関係を掘り下げる研究を行った。ニュートリノ質量階層性の決定のための最適基線長は、エネルギー測定精度の詳細に強くは依存せず、ほぼ50kmであり、エネルギー測定精度が現在の精度の2分の1以下であれば、精度が向上すると階層性の決定に必要な検出器の大きさと実験継続期間との積が減少することが定量的に示された。この実験で、1-3質量二乗差と1-2混合角の測定精度が飛躍的に向上することも確認した。また、他の関連する先行研究との定量的な比較をする過程で、実験データの統計的揺らぎを考慮に入れた将来実験の物理発見可能性の定量的評価の新しい方法を開発した。成果は論文として投稿し、現在査読中である。更に国際会議での招待講演、日本物理学会での口頭発表等により発表した。 続けて、超巨大検出器PINGUによる大気ニュートリノ振動実験の物理的可能性を検討するために、南極圏での大気ニュートリノフラックスの経緯度分布、検出器の測定精度等の基本情報を整理し、地球を貫通する基線に沿ったニュートリノ振動確率の高効率な数値計算法の開発を行い、物理的観測量とニュートリノ模型のパラメータ、特に質量階層性とCP位相との関係を明らかにした。現在投稿論文を準備中で、更に米国ピッツバーグで開催された国際ワークショップの招待講演で成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
原子炉ニュートリノの中基線長振動実験については国際会議での報告と共に成果を論文としてまとめ、投稿することができた。続く、超巨大検出器PINGUの研究についても、「完璧な検出器」極限での解析手法の開発が完成し、結果を国際会議で報告した。第一論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
将来のニュートリノ振動実験に関連する研究については、規定方針に従って遂行する。コライダーの物理については、実験解析の鍵となるパートンシャワーの研究を開始したところである。
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