2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度ダブルネットワークゲルの化学種多様化と人工軟骨としての応用
Project/Area Number |
12F02340
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
グン 剣萍 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LUO Feng 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ゲル / 高強度 / 医療材料 / 再生医療 / ダブルネットワーク / ポリイオンコンプレックス |
Research Abstract |
ある種の高強度ゲルには軟骨再生誘導効果、細胞培養能などが存在することが分かっており、医療材料としての応用が期待されている。本研究の目的は、生体適合性高分子や天然高分子を素材とした生体適合性に優れる高強度ゲルの創製と、その生体代替材料および再生医療基材としての応用である。 (1)生体適合性分子からなるDNゲルの合成 高い生体適合性を示すポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)ゲルに天然高分子であるプロテオグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などを添加して膨潤度を増大させ(分子ステント法)、その内部で再度PDMAAmゲルを重合することにより、生体適合性に優れたDNゲルを合成した。本ゲルは最大で2MPaという高い破断応力を示した他、表面においてヒト血管内皮細胞が増殖可能であり、医療材料としてのポテンシャルを持つことも分かった。 (2)高強度イオン架橋ゲルの合成 当研究室では、カチオン、アニオン両モノマーを共重合させることで、ポリイオンコンプレックスを用いた高強度物理架橋ゲル(ICゲル)を合成している。本ゲルは非共有結合で結合しているため、生体内で徐々に溶解し、再生組織と置き換わることが期待される。本実験では、ゲルの構成要素のうちのカチオンモノマーに注目し、メタクリル基、アクリル基を有する2種のカチオンモノマーの混合比を変えてICゲルを作製し、その挙動を調べた。結果、メタクリル基を持つモノマーが多くなるほどゲルは硬く、高強度となる一方、破断歪は減少した。これは、系内に形成されたイオン結合の強度や解離温度が変化するためであることが動的粘弾性測定より示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体適合性DNゲルに関しては、当初計画していた目標(各種生体高分子を分子ステントに用いた高強度ゲルの創製)をクリアしており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、研究実績概要(1)に示した高強度DNゲルの生体材料としての応用研究のみを行う予定であったが、近年他のメカニズムによる高強度ゲルであるICゲルが開発されており、こちらも生体材料としての可能性を秘めている。研究者本人は双方のゲルに興味を示しているので、今後はDNゲルとICゲル、2つのプロジェクトを並行して行う予定である。
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