2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02342
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Changhua 東京大学, 大学院工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ヒドロゲル / 刺激応答材料 / 異方性 / 酸化チタン / 酸化ニオブ / ナノシート / 磁場配向 / 自己非自己認識 |
Research Abstract |
本研究では、ナノシートやポリマーブラシなど、構造明確な一次元・二次元ナノオブジェクトを異方的に集積することにより、光・温度・pH・基質などの外部刺激に応答してマクロスコピックな物性をスイッチするシステムの開発を目指している。具体的な構成ユニットとして、チタン層状酸化物の単結晶を層1枚にまで剥離・水中分散した、「金属酸化物ナノシート」に着目した。ナノシートの水分散液にアクリルモノマーを共存させ、外部磁場を印加した状態でラジカル重合反応によるヒドロゲル形成を行ったところ、磁場によりナノシートの向きが一義的に制御される結果、光学的・機械的性質に著しい異方性をもつヒドロゲルが得られる。昨年度まで金属酸化物ナノシートとして「酸化チタンナノシート」を用いてきたが、今年度、構成ユニットの多様化に基づく更なる機能化を志向し、「酸化ニオブナノシート」を併せて用い、その磁場配向挙動の調査、ならびにヒドロゲルへの複合化を試みた。詳細な検討の結果、「酸化ニオブナノシート」は「酸化チタンナノシート」とは全く異なる磁場配向挙動を示すことが明らかとなった。「酸化チタンナノシート」は磁場に対して垂直に配向するのに対し、「酸化ニオブナノシート」は平行に配向する。極めて興味深いことに、両者の混合物に対して磁場を印加した場合、両者は自己・非自己を見分けて自己集合することにより、巨大なドメインを作っていることが粉末X線回折ならびに蛍光共鳴エネルギー移動を用いた検討により明らかとなった。無機ナノシートの自己・非自己認識に関する研究はこれまでに例がなく、基礎科学的に興味深い現象であると同時に、これを利用した新規機能性材料の開発が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究が計画以上に順調に進行したため、今年度は研究計画にない課題(構成ユニットの多様化に基づく更なる機能化)にも挑戦することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究により、構成要素の一つであるアクリルモノマーを適切に選ぶことにより、pHなどの刺激に応答して異方的に膨潤・収縮するヒドロゲルが得られることが分かっている。今後、昨年度の成果と今年度の成果とを複合化することにより、更なる機能を付与したヒドロゲル材料の開発を目指す。
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Research Products
(1 results)