2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジチオレン化合物が生み出す過遮光電流を利用した次世代有機光電流変換デバイス
Project/Area Number |
12F02343
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DALGLEISH Simon 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機エレクトロニクス / 有機半導体 / 有機トランジスタ |
Research Abstract |
イオン液体界面に形成される電気2重層は、仮に誘電層の長さをマクロスケール(数mm)にしたとき、固体誘電体の場合は更なる電場減少が生じるだけだが、液体電解質の場合は誘電層の長さに依存せず、大きな電場を保つことができるだろう。これは、電極間の距離をマクロスケールとしても過渡光電流を生み出しうることを意味している。そこで本研究では、[電極1(Au,Cu or A1)|P3HT:PCBM|Ag]なる光電セルをつくり、可視光励起から生じる過渡光電流を調べた。その結果、これまでの透明電極ITOを用いたセルと同程度に大きな過渡電流をえることに成功し、またその大きさは2電極間の仕事関数の差に比例することが分かった。 さらに今年度は、近赤外部に強い吸収をもった物質(BDN)を電荷分離層に用いて過渡光電流の計測を行った。この物質はイオン液体に可溶であるため、絶縁層としてPVDFを用いた。その結果、Nd:YAG近赤外光パルス(1064nm,1ns)励起でも十分に大きな過渡光電流が得られることが分かった。 されに励起光の光サイクル周波数を上げて特性を調べたところ、100Hzでは過渡電流特有の時間変化だが、10,000Hzでは疑似定常光となり、MHzオーダーまで光電流変換できることが分かった。将来のオプトエレクトロニクスへの応用に対して着実な成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開殻化合物を利用した革新的な有機エレクトロニクスを構築することを目的としているが、これらとイオン液体を組み合わせて電気2重層とトランジスタが極めて有望であることを見出し、さらにその作動原理までを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体を利用した電気2重層有機トランジスタの研究をされに促進させる。
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Research Products
(9 results)