2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタリックマンガン酸化物を用いた純スピン流の高効率生成とそのデバイス応用
Project/Area Number |
12F02357
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 崇 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAKAUL S.R. 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | スピントロニクス / 酸化物 |
Research Abstract |
室温での完全スピン偏極状態(ハーフメタル特性)が理論的に予言されている LaSrMnO3(LSMO)膜は、結晶成長技術が極めて困難であるため、限られた研究者のみが高品質な薄膜を作製できる材料である。一方、受け入れ研究者が得意とする純スピン流生成技術も、限られた研究期間のみが実現できる技術である。この2つの研究者のシーズ技術を組み合わせることで、純スピン流実用化におけるこれまでの最大の課題であったスピン生成効率の飛躍改善を実証するのが本研究の最大の目的である。更に、低損傷微細加工技術、形状による磁区構造制御、スピンダイナミクスなど、受け入れ研究者の有する様々なシーズ技術をLSMOに適用し、LSMOを用いたナノスピンデバイスにおける新奇デバイス応用の可能性の探索も行う。 今年度は、電子線描画とイオンミリングを用いたLSMOの微細加工法、及びそれらの磁気特性について系統的に調べ、形状効果による磁区構造制御に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化物基板への電子線照射、イオンミリングによる微細加工、高感度磁気力顕微鏡による磁区構造観察など、すべてが順調に実現され、形状による磁区構造、及び磁壁制御に関する系統的な実験データの取得に成功している。これらは、当初の計画通りであり、極めて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に確立した微細加工技術を用いて、純スピン流生成に向けた横型スピンバルブ素子の試作に取り掛かる。最大の課題は、高品質なLSMO/非磁性体界面の作製であり、高効率スピン注入に適した界面清浄技術の開発を、界面I-V特性、断面TEM観察、及び横型スピンバルブにおけるスピン伝導特性などから評価する。非磁性体の材料選択も課題であり、上記特性の物質依存性を評価する。また、ポストアニーリングなどの処理を行い、高効率純スピン流生成に向けた素子作製条件の最適化を行う。
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Research Products
(2 results)