2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02359
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Jianshan 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ねじれ構造 / 力学的非対称性 / マルチスケール / スケール移行 |
Research Abstract |
本研究の目的は、初期力学状態の異方性に起因して微小な要素に特定のねじれ構造が発生することに着目して、そのねじれ構造の大きなスケールへの移行によって、マクロスケールにおける材料の複雑な物性を産み出す機構を解析することである。とくに、このようなマルチスケール移行の研究対象として、基板表面のひずみ状態の相違による高分子のラメラ結晶のねじれ方向決定を取り上げる。さらに、それによって形成されたねじれ構造が多様な物性に及ぼす影響を明らかにすることを考えている。本研究のもっとも重要な学術的意義は、複雑な非対称構造が形成される過程をナノレベルの力学的要因からマルチスケールに解明する点にある。特に、本成果によって得られるスケール間のねじれ移行に関する知見は、マクロ構造体の非対称微視構造を設計するための基盤として用いることができるのみならず、生体内のねじれ構造を有した構造体(例えば、細胞に対する負荷を支える骨格であるアクチンフィラメントは螺旋形状をしている)の形成メカニズムにおいて、力学的要因は大きな役割を果たしていることから、生体材料を含む多方面の複雑構造を有する材料研究への発展が期待できる有用な知見をもたらすと考えられる。 本年度は、モデリングおよびシミュレーションに必要な計算機を購入・整備するとともに、必要なシミュレーションプログラムのチューニングを行った。さらに、内部にねじれ構造を有するワイヤモデルに対して力学的基礎式を導出し、その力学特性を解析した。ワイヤは内部のねじれ構造や表面の影響に依存して特徴的な変形特性を有することが明らかになった。なお、本成果は国際誌EPLに投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定の、モデリングおよびシミュレーションに必要な計算機を構築、力学シミュレーションプログラムの改造・調整とその有効性・拡張性を検証、ねじりのスケール移行のモデリングの基礎の構築、は全て実施されている。また、研究成果は国際誌EPEに投稿しており、研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度における主課題であるねじれ構造モデルに対する解析を行うため、計算プログラムの並列化を行っている。 これと、次年度増強予定の計算機により、研究実施は可能であると確信している。
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Research Products
(2 results)