2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02359
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Jianshan 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ねじれ構造 / 力学的対称性 / マルチスケール / スケール移行 |
Research Abstract |
本研究の目的は、初期力学状態の異方性に起因して微小な要素に特定のねじれ構造が発生することに着目して、そのねじれ構造の大きなスケールへの移行によって、マクロスケールにおける材料の複雑な物性を産み出す機構を解析することである。本研究のもっとも重要な学術的意義は、複雑な非対称構造が形成される過程をナノレベルの力学的要因からマルチスケールに解明する点にある。特に、本成果によって得られるスケール間のねじれ移行に関する知見は、マクロ構造体の非対称微視構造を設計するための基盤として用いることができる。生体内のねじれ構造を有した構造体の形成メカニズムにおいて、力学的要因は大きな役割を果たしていることから、生体材料を含む多方面の複雑構造を有する材料研究への発展が期待できる有用な知見をもたらすと考えられる。 本年度は、基本問題として、ねじれ微視構造を有するワイヤーのマクロ構造への影響について理論解析を行った。棒状構造体はマクロ構造が単純であるため、ミクロからマクロへのねじれ移行機構やそれによるマクロ構造の特殊な変形機構を理解する好適の対象である。現在は、バックリング等を含む基礎特性について、さらなる解析を進めている。 また、応用課題として、紙の湿度変化による丸まりについて解析・実験を行った。紙はねじれ構造を有する繊維が集合しており、湿度による膨張・収縮変形がねじれ移行によって特徴的なマクロ変形特性をもたらすことを明らかにした。現在は、応用課題についても、生体を中心として理論解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微視ねじれ構造がマクロ構造に移行されるメカニズムについて、基礎的な課題と紙に対する応用課題について一流国際誌に成果が掲載され、順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きビーム等の基礎的な構造体におけるねじれ移行の特性について解析を進めるとともに、さらに複雑な植物や生体を対象とした研究を継続する予定である。
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Research Products
(4 results)