2013 Fiscal Year Annual Research Report
固体材料の微小重力場における着火・消炎およびすす生成挙動に関する研究
Project/Area Number |
12F02360
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 修 北海道大学, 大学院工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HU Longhua 北海道大学, 大学院工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 固体燃焼 / 微小重力場 / 火災安全性 / 燃え拡がり / 消炎限界 / 電線 / 着火 / すす |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に沿って、以下の2項目について実施した。 1. 通常重力場における固体材料の消炎限界に関する検討 (1)実験的研究の実施 前年度の予備的検討を元に選定した試料(ポリエチレン被覆材料、心線銅およびニクロム)、実験条件に基づいて、電線の燃え拡がり速度、消炎限界におよぼす試料角度の影響を調べた。この結果燃え拡がり速度に関しては、試料心線が銅の場合、試料を正方向・負方向のいずれへ傾けてもほぼ同様な燃え拡がり速度の増大が生じることが分かった。また、同様な実験をニクロム心線で実施した場合、正方向への傾きでは燃え拡がり速度が傾きとともに大きくなるのに対し、負方向では傾きが大きくなるほど燃え広がり速度が小さくなることが分かった。これは従来知られていない新しい知見である。消炎限界についても角度依存性を求め、これについても、特定の角度で消炎限界酸素濃度が極大となる興味深い知見が得られている。 (2)燃え広がり維持機構物理モデルの構築 上記の結果に基づいて、燃え拡がりおよび消炎を支配する熱循環の物理モデルを構築し、このモデルが実験結果を矛盾なく説明できることを示した。 (3)論文執筆 上記の結果は、既に論文としてまとめられ、本年8月の国際燃焼シンポジウムでの発表採択が決定している。 2. 微小重力場における着火・すす生成実験 微小重力場での電線被覆着火実験を実施した。実験に際しては、ポリエチレン被覆およびETFE被覆材料を選択した。電線に過電流を与え、着火の生じる下限での電流値を求める実験を実施したところ、電線が単線の場合、着火下限電流は微小重力下で大きく低下するのに対し、電線をより線とすると着火下限電流値に対する重力影響が小ささくなる傾向にあることが分かった。すす生成実験に関しては地上予備試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はほぼ順調に推移している。本年度は、研究を本格的に推進することがで、多くの新しい知見も得られている。これらの成果は論文投稿が行われ、国際燃焼学会(発表内容はそのままインパクトファクターのある雑誌として公表される)での採択も決定している。また、それに引き続く内容も、本年10月の別の国際学会で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に沿って、今後も引き続き研究を継続する。成果は、可能な限り国際会議・学術雑誌にて公表していく。
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