2012 Fiscal Year Annual Research Report
津波による浮遊物輸送と浮遊物が海岸の構造物へ及ぼす衝撃力を評価するモデルの作成
Project/Area Number |
12F02370
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NANDASENA Napayalage Aruna Kithsiri 埼玉大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 津波石 / 衝突力 / 流木 / 東北地方太平洋沖地震津波 |
Research Abstract |
東北地方太平洋沖地震津波は、海岸堤防や海岸林、家屋が次々と破壊され大量の浮遊物を巻き込みながら内陸ならびに河川を遡上した。従来の津波シミュレーションでは抗力などその一部がモデル化されているものの浮遊物の発生・流失・輸送・衝突といった一連のプロセスを含むものにはなっていない。そのため、浮遊物がもたらす衝突力に関する実験を行った。平成24年度は、1)津波による浮遊物(特に流木)が及ぼす衝撃力に関する水理実験,2)浮遊物による衝撃力を考慮した二次元津波解析モデルの構築と解析、を行った。具体的には、衝撃力の評価に必要な力積方程式の未知項を解明する実験をおこない、衝突確率、付加質量、流体力に占める衝突力の比に関する知見を得た。浮遊物群については、第一段階として同じ比重の浮遊物群(流木群)を解析する運動方程式を、津波解析用の非線形長波方程式と連動させて解くモデルを開発した。比重の重い物体群として津波石の解析では、東北地方の津波石(約11-167トン)に関する現地調査(摂待、唐桑地方)を行い、津波石の発生位置を現地状況、航空写真、生存者へのヒアリングなどで特定し、津波石の挙動をシミュレート(最長のもので600m移動)し、比重の重い物体の挙動を精度よく表現するモデルを開発した。発生箇所別、発生形態別に運動形態のモデル化を行うことで精度向上を行った。同モデルにより、現地調査地点の津波流速に関する知見を得た。また、1611年の慶長津波の同地点における規模の推定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書のうち、同じ比重の単一浮遊物および浮遊物群については、津波石の現地調査に基づく解析結果を口頭発表し、また海外学術雑誌へ投稿するなど順調である。しかし、異なる比重のものについては単一を踏まえてから実験計画を立てる必要があること、特別研究員の開始が11月であったことからやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目において解析手法を確立しているため、実施にあたっての大きな課題はないが、外国人特別研究員に加え、博士前期課程の学生2人が共同で実験を行い、鋭意、研究計画を進める予定である。
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