2012 Fiscal Year Annual Research Report
生態・水文・地球化学的観測とモデリングによる沿岸生態系のブルーカーボン動態解析
Project/Area Number |
12F02371
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Sahadev 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ブルーカーボン / マングローブ林 / バイオマス / 炭素貯蔵量 / 炭素フラックス / 統合的モデル / コーラル・トライアングル / 気球温暖化 |
Research Abstract |
生物多様性が世界的に見て特に高いエリアであるcoral triangle海域は、マングローブ林や海草藻場等の沿岸生態系に蓄えられているブルーカーボン量が非常に大きいと考えられているが、一方で、さまざまな人為的環境負荷による生態系の劣化に伴って、その蓄積量が大きく減少していくことが懸念されている。そこでcoral triangle及びその周辺海域で沿岸生態系の状態とブルーカーボン量動態の関係を定量的に評価し,今後の地球環境変動下での将来像を予測するのが本研究の目的である。 当該年度は、第一に調査・分析対象サイトの詳細な選定を行った。また生態学的・水文学的・地球化学的観点から、データ収集・解析のためのプロトコールを確立した。現地調査は、沖縄県石垣島吹通川河口周辺域で1月~2月に、フィリピンのラギンディンガン、イロイロ、バナテ湾で3月に実施した。吹通川では、2つのトランセクト上に12のプロットを設定し、種構成や地上部・地下部のバイオマス、死んだ木のバイオマスに関する生態学的データを取得した。また流向・流速、水位、塩分、クロロフィル、濁度、溶存酸素、水温等の水質・水文学的パラメータ、栄養塩、全炭酸、溶存有機炭素、懸濁態有機物、アルカリ度、クロロフィル、底泥中の全炭素量等の地球化学的パラメータも同時に取得した。ラギンディンガンでの調査では、5つのベルトトランセクトに18のプロットを設け、種構成や地上部・地下部のバイオマス、死んだ木のバイオマスに関し生態学的データを取得した。インドネシアは訪問することが出来なかったが、現地研究者と議論し、スラウェシ島南東部のRwa Aopa Watumohai National ParkおよびTiworo Archipelagoを調査対象地の有力候補として選定した。 モデル開発に関しては、既に所属研究室で開発済みのサンゴ礁生態系モデルに、マングローブ生態系を組み込むための検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地の選定が順調に進み、研究は順調に進展している。石垣島吹通川およびフィリピンでの複数の選定調査地では生態学的・水文学的・地球化学的データの取得を開始している。統合型モデル開発についても、様々な観点から議論を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に、全ての調査地域でデータ取得を行い、並行してブルーカーボン動態に関する統合型モデル開発を実施する。石垣島吹通川では4~5月および8月に、フィリピンの選定調査地では6月と9月に、インドネシアの選定調査地では11~12月に調査を実施予定である。また今年度中に成果を国際学会で発表すると共に、国際誌に投稿する論文の準備を始める。
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