2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本の建造物保存技術・制度を活用したインドネシアの伝統的木造建築保存に関する研究
Project/Area Number |
12F02375
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠野 志郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIBOWO A.S. 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | インドネシア / 歴史的建造物 / 保存 / 木造建築 / 植民地建築 / 文化財保護行政 |
Research Abstract |
本研究では、日本の歴史的建造物、とりわけ民家・街並に関する木造建築の保存や維持管理の手法・制度を援用することで、インドネシアの伝統的木造住宅や近代化を象徴する木造植民地建築の保存・活用手法の構築・提案を行うことを目的に、研究を進めている。 本研究では、上記の目的を達成するために、以下の4点を中心に研究を行うものとしている。 1.日本における歴史的建造物の保存実例・保存制度の調査 2.インドネシアにおける保存すべき伝統的木造建築の確認調査・記録作成 3.インドネシアにおける建造物保存技術・制度の問題点の整理 4.インドネシアにおける伝統的木造建築の保存管理計画の策定、保護制度の構築・提案 初年度であり、実質的に4ヶ月ほどの期間であった平成24年度では、日本国内で可能な範囲において調査研究を進めることとし、研究の前提として、日本建築史一般及び文化財保存に関する基礎的な知識の獲得を行う一方、平成25年度以降に行うインドネシアでの現地調査等の準備を行った。 上述1.にまつわる基礎的な知識の獲得としては、日本建築史一般及び文化財保存に関する知見を深めるために、関連図書の収集とその内容把握を行った。また、多くの建築文化財が残されている京都及び奈良地域に赴き、建築文化財とその保全の実態を実見して、木造建築に対する知識を深めるとともに、参考とすべき日本における文化財保存の実例選定のための知見を得た。さらに、文化庁の文化財保存の担当者へのインタヴューを行い、文化財保護行政の現在について知るとともに、今後の研究の方向性を議論した。 一方、インドネシアの文化財については、平成25年度に実施するインドネシアにおける現地調査の遂行に当たり、これまでに収集した遺構に関する情報に基いて、上述2.の調査対象候補の選定を行うなどの準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
11月の来日以来、日本建築史の把握及び文化財視察など基礎的な知識の習得に専念した分、当初予定していた日本における歴史的建造物の保存実例や制度に関する情報収集において、若干遅れている部分もあるが、平成25年度のインドネシア調査に向けた情報収集・調査準備が進捗しており、総じて予定通りの進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、前年度の検討において保存対象候補として選定した、インドネシアの木造建築について現地調査を行い、その現状を把握するとともに、保存対象としての歴史的建造物の選定と、現在の建築文化財の保全にまつわる問題点の抽出を行う。また、文化財行政担当者へのインタヴューなども含め、日本における歴史的建造物の保存実例・保存制度の整理を継続的に行った上で、インドネシアにおける建造物保存技術・制度との対照を通じて、同国の建造物保存にみる技術的及び制度上の問題点を明らかにする。平成26年度には、インドネシアでの現地調査を補足的に実施するとともに、上述の作業の結果を踏まえて、同国における伝統的木造建築の保存管理計画の策定、保護制度の構築・提案を目指すこととする。各分析作業の成果については、日本建築学会の論文集及び研究発表会での公開を予定している。
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