2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本の建造物保存技術・制度を活用したインドネシアの伝統的木造建築保存に関する研究
Project/Area Number |
12F02375
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠野 志郎 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIBOWOARIF Sarwo 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | インドネシア / 歴史的建造物 / 保存 / 木造建築 / 植民地建築 / 文化財保護行政 |
Research Abstract |
インドネシアには我国同様、木造および木造と煉瓦との混構造の歴史建造物が数多く残されているが、それらの歴史建造物のほとんどは、当該建造物の所有者ないしは管理者により、文化財としての認識が希薄なまま、放置されているのが現状である。本研究は、こうしたインドネシアの危機的状況にある文化財に対して、有効な保存・修復の制度、及び技術を確立するために、既に木造文化財の保存・修復に関して実績のある日本の事例を参考として、インドネシア技術移転を目指して、実施に伴う問題点・障害点の解析と導入への指針を明らかにすることを目的としている。そのため、日本での木造文化財の修復・保存の実態とその制度、及び管理の実態等への調査・研究を基に、インドネシアの木造文化財への適用の可能性を検証することで、研究を進めた。本年度はその2年目にあたり、主として、日本とインドネシアとの両国において、以下の研究が進められた。 ○日本の木造文化財の保存実態を把握するため、文化財の歴史的真正性を担保した遺構を調査し、文化財としての価値を如何に維持するかについて実体調査を行った。同時に、文化財修理と保守・保全の実態を把握するため、現状で使用されている文化財修理現場を訪ね、文化資産の活用について調査した。 ○我国の文化財保存の制度に関して、各種文献資料の分析を行った。 ○日本での文化財保全の手法を援用して、インドネシアにおいて幾つかのモスク、及び日本の重要伝統的建造物群保存地区に相当する集落の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
文化財に対する史的評価、及び保存技術の移転に関わる、現地での調査資料の収集が当初の予想を上回るものであったことに加え、その調査・研究成果をインドネシアの幾つかの学会において公表し、保存活用の必要性について喧伝できたこと。また、修復の緊急性を要する歴史的住宅遺構の実態を把握できた点は、当初の計画に較べて、インドネシアの広汎な遺構の実態についての情報を収集することができたと評価し得ると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者であるArif Wibowoの保存修復に対する技術的な習得のため、具体的な修復現場での研修を予定している。また、昨年度の調査でWibowoを中心にバンドン工科大学との組織的な文化財保全に関する調査・研究の共同作業が始まった事もあり、継続的な悉皆調査、および当該地の文化財の現状評価を行う予定である。 こうした文化財保存について長期的にみると、短期の調査中のサポートだけではなく、我国の専門家を当該国の大学に派遣し、現地でこうした事業に関する研究者のサポート、及び教育・調査・研究方法の教授が必要である。
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Research Products
(4 results)