2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造を制御した複合系scaffoldと幹細胞による骨組織再生
Project/Area Number |
12F02380
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAFI Md Abdul 九州大学, 応用力学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 整形外科 / 多孔質材料 / 幹細胞 / 複合材料 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 大規模な骨欠損の再建治療での応用を目指して, 人工材料と幹細胞をハイブリッド化した人工骨組織を創製することである. 具体的には, 生体適合性に優れる生体ポリマー, 生分解性合成ポリマーおよびリン酸カルシウム系バイオセラミックスを複合化した材料をscaffoldとして開発し, 間葉系幹細胞を播種し一定期間培養することで, 細胞を増殖・分化させるとともに細胞外基質を形成させて人工組織を構築することを目指す. 初年度である平成24年度は, ハイドロキシアパタイト(HA)とポリカプロラクトン(PCL)を原料として複合系足場材料の試作を行った結果, HA多孔質構造にPCLコーティングを施すことで圧縮力学特性が大幅に向上することが明らかになった. 平成25年度は, HA/PCL系scaffoldおよびHA scaffoldに間葉系幹細胞を播種し増殖・分化能を比較検討するとともに, 新しいscaffold用材料として海洋資源であるキトサンの可能性を探るために, キトサン多孔体を作製し間葉系幹細胞を用いた培養実験を行った. HA/PCL scaffoldでは, 幹細胞は4週間の培養で順調に増殖し, それに伴い圧縮強度と弾性率も順調に増加した. FE-SEMを用いた微視構造観察より, 細胞増殖と細胞外基質生成による膜状組織の構築が力学特性の向上に起因していることが明らかになった. 一方, キトサンscaffoldを用いた幹細胞の培養系においても4週間の培養で細胞は順調増殖した. また, ALP活性は2週目まで増加する傾向を示した後, 3週目で減少し, その後は一定の値を示した. 以上の結果より, 本研究で開発したHA/PCLおよびキトサンscaffoldは, 間葉系幹細胞の足場材料として有用であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイドロキシアパタイト多孔体にポリカプロラクトンをコーティングした複合系多孔体を間葉系幹細胞の足場材料とした培養実験を実施し, HA/PPCL scaffoldが足場材料としての優れた性能を有することを確認した. さらに, キトサンscaffoldを作製し幹細胞の培養実験を行った結果, 優れた増殖能を示すことが明らかになった. このようにほぼ計画通りの進捗状況となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
ハイドロキシアパタイト, PCL, キトサンに加えてコラーゲンを導入し, これらを複合化することでscaffoldの最適化を図る. 特に細胞親和性と力学特性の両面について最適化を試みる. さらに, 間葉系幹細胞を播種し, 増殖・分化さらには細胞外基質形成を行い, 足場材料としての有用性, ならびに再生医療用の人工組織としての可能性について検討を行う予定である.
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Research Products
(4 results)