2013 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体ATP合成酵素の酸化ストレスによる失活の分子機構とその防御
Project/Area Number |
12F02389
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久堀 徹 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUCHERT EBERHARD Felix 東京工業大学, 資源化学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ATP合成酵素 / 活性酸素 / γサブユニット / 葉緑体 / メチオニン |
Research Abstract |
高等植物葉緑体が活性酸素(ROS)ストレスを受けたときに、ATP合成酵素が特異的に攻撃を受けることが明らかになっている。さらに、ROSによって攻撃される部位が、γサブユニット上の複数のメチオニン残基であることが明らかにされている。このメチオニン残基の分子内の位置は、α3β3六量体の形成するリングの入り口付近のγの接触面に近く、両者の相互作用が影響を受けることが考えられるが、その分子的な実体はまだ明らかではない。この分子の接触面の詳細を調べることを目的として、本年度は、「γサブユニット上のROS感受性アミノ酸側鎖の特定」について、平成24年度中に作成した変異体タンパク質を用いて、ROS感受性に寄与しているアミノ酸の特定を行った。また、可能性のある部位に追加的に部位特異的変異導入を行い、得られた複合体タンパク質を用いて、生化学的な解析を行った。また、γサブユニットと相互作用することが予想されるβサブユニット上のアミノ酸についても変異導入を行った。これらの変異複合体について、1分子回転観察系を用いた酵素の挙動を調べた。 その結果、上述のROS感受性に関与するアミノ酸領域におけるβサブユニットとγサブユニットの相互作用が、この酵素の活性制御に最も基本的に役割を果たしているADP阻害機構を制御することがわかった。また、この領域の相互作用が、酸化還元制御のような他の制御機構にも深く関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年度は、シアノバクテリア複合体酵素に、ROS感受性の付与に直接関与するγサブユニット上のアミノ酸残基の特定を行い、これに関連するβサブユニット上の残基も特定することが出来た。変異を導入した複合体の生化学的解析も順調に進行しており、7月の国際会議で成果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究により、ROS感受性に関わる領域がADP阻害にも関与することや、酸化還元制御にも関与することを明らかにすることが出来たので、その詳細について1分子解析を含めて解明することを計画している。
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