2012 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ果実のカロテノイド集積におけるカロテノイド代謝分解酵素の機能解析
Project/Area Number |
12F02395
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
加藤 雅也 静岡大学, 農学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 剛 静岡大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | カロテノイド / カンキツ / Carotenoid cleavage dioxygenase / β-シトラウリン |
Research Abstract |
カロテノイドは,自然界に700種類以上も存在する色素群の総称である。カロテノドは,CCD(Carotenoid cleavage dioxygenase)により,様々なアポカロテノイド(カロテノイドの代謝産物)に代謝分解される。これまで,カンキツ果実からも複数のCCD遺伝子が単離されているが,そのほとんどの遺伝子の機能が未知である。今年度は,これまで単離した機能未知のCitCCD4について,大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を作成し,CCDの基質特異性などの酵素学的性質を調査した。 カロテノイドを集積する大腸菌を用いた機能解析では,in vivoおよびin vitroにおける実験を行った。カロテノイドに関わる酵素遺伝子は,in vitroにおいて酵素活性を測定することが非常に困難である。そこで,まず,カロテノイドを生成する大腸菌を用いたin vivoにおける実験から行った。機能未知のCitCCD4遺伝子をゼアキサンチンを集積する大腸菌に導入した。遺伝子を導入した大腸菌を凍結乾燥後,抽出溶媒を用いてカロテノイドを抽出し,HPLCを用いてCitCCD4による生成物を検出した。その結果,生成物としてβ-シトラウリンが認められた。In vitroにおける実験では,CitCCD4のリコンビナントタンパク質を作成し,β-クリプトキサンチン,ゼアキサンチン,ビオラキサンチンを基質として反応溶液に添加し,CitCCD4がどのカロテノイドを代謝分解するかを,HPLCを用いて確認した。その結果,CitCCD4は,β-クリプトキサンチンおよびゼアキサンチンを代謝分解し,β-シトラウリンを生成する反応を触媒することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,機能未知であったCCDのうちのCitCCD4が,カンキツに特有に集積するβ-シトラウリンの生成を触媒することがin vivoおよびin vitroにおいて証明することができた。この成果は,カンキツ果実におけるβ-シトラウリンの集積メカニズムを解明する大きな前進であるため、当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,CitCCD4のカロテノイド代謝分解における機能の一端を明らかにした。今後は,CitCCD4の細胞内の局在性の調査や発現解析を行うことにより,さらなるCitCCD4の機能を明らかにする予定である。また,機能未知のCCDは,他のタイプのものも報告されていることから,カンキツからそれらのCCD遺伝子の単離および機能解析を行い,カンキツ果実におけるカロテノイド代謝分解にどのように関わっているか明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)