2012 Fiscal Year Annual Research Report
温室効果ガス低減を目指したダイズ根粒菌のN2O還元過程遺伝子群の制御機構の解明
Project/Area Number |
12F02398
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南澤 究 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANCHEZGOMEZ Cristina 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 脱窒 / N_2O還元酵素 / 根粒菌 / 硝酸還元酵素 / 温室効果ガス |
Research Abstract |
N20は強力な温室効果ガスであると共にオゾン層破壊ガスでもあり、農耕地からの放出量が多く有効な削減策はない。ダイズ根粒菌Bradyrhizobium japonicum USDA110株は、nos遺伝子群をもち、N_2Oを還元することができるため、N_2O削減効果が期待されるが、nos遺伝子群の発現制御系は不明な部分が多い。これまでにB.japonicumUSDAllOの自然突然変異集団から5MO9株をN20還元活性強化株として分離した。5M09のN_2O還元活性上昇の原因解明は、nos遺伝子群の発現制御機構の解明にも繋がると考えられる。 5MO9株およびその野生株USDA110について、脱窒遺伝子napE,nirK norC,nosZのプロモーター下流にlacZ遺伝子を挿入したレポーター株を作成し、好気・嫌気および硝酸添加・無添加条件で培養し、それらの転写活性を調べた。その結果、硝酸非存在下では好気・嫌気のどちらの条件でも5MO9株のnapEおよびnosZ遺伝子の発現が上昇していた。一方、硝酸存在下ではそれらの相違は見られなかった。さらに、nosオペロンに強力なrrnプロモーターを導入したPRNOS株も対照としたRT-PCR法および酵素活性測定でも同様な結果が得られた。また、酸素シグナル系FixLJ-FixK2-NnnR、酸化還元シグナル系RegSR-NifAの転写制御系の発現では有意な変化は観察されなかった。したがって、USDA110株には硝酸還元酵素とN_2O還元酵素の遺伝子発現を抑制している未知の制御系があり、5MO9株ではその制御系が機能しないため、napEおよびnosZ遺伝子の発現が上昇し、これらの酵素活性が上昇することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定していた脱窒遺伝子群、酸素シグナル系FixLJ-FixK2-NnnR、酸化還元シグナル系RegSR-NifAの転写制御系に着目し、野生株(USDA110)とnos強化株(5MO9)の発現解析を実施し、硝酸還元酵素とN20還元酵素の遺伝子発現を抑制している未知の制御系の存在を明らかにできた。しかし、N_2O還元活性の高い変異体のゲノム解析から見つかった2成分制御系のセンサーをコードする遺伝子については、変異体を作成したが、その詳細な解析は今後課題となった。 また、本結果について国際誌に投稿し、受理に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
N_2O還元活性の高い変異体のゲノム解析から見つかった2成分制御系のセンサーをコードする遺伝子の変異体を作成し、脱窒遺伝子群(napA,nirK,norBC,nosZ)の発現と活性について詳細に検討する。特に本センサー遺伝子が既知の酸素シグナル系FixLJ-FixK2-NnnR、酸化還元シグナル系RegSR-NifAの転写制御系とどのような関係にあるか、lacZレポータ系およびRT-PCRによる発現解析を行う。また、次世代シークエンサーを利用したRNA-sequenceによる網羅的な発現解析系についても検討を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Mitigation of nitrous oxide emissions from soils by Bradyrhizobium japonicum inoculation.2013
Author(s)
Itakura M, Uchida Y, Akiyama H, Takada-Hoshino Y, Shimomura Y, Morimoto S, Tago K, Wang Y, Hayakawa C, Uetake Y, Sanchez C, EdaS, Hayatsu M, Minamisawa K.
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Journal Title
Nature Climate Change
Volume: 3
Pages: 208-212
DOI
Peer Reviewed
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