2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化酵素を標的としたマングローブの耐塩性機構解明
Project/Area Number |
12F02403
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
屋 宏典 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
M.D. Hossain 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | マングローブ / 抗酸化酵素 / 耐塩性 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究はマングローブ植物における塩分の毒性除去機能、特に抗酸化酵素を新たな標的としてマンローブの塩耐性機構を複合的に解明することを目的として、25年度は以下の点について検討した。1. 代表的な抗酸化酵素(SOD、CAT、APX、GST、GR等)について、塩分負荷後の活性変化を追跡し、塩ストレス応答的な変動を示す酵素の絞り込みを行う。2. 上記の結果に基づき、マングローブ植物から塩ストレス応答性の抗酸化酵素遺伝子のクローニングを行い、塩基配列を基にしたタンパク質構造を明らかにする。3. 塩分負荷後のマングローブについて、抗酸化酵素の活性、タンパク質濃度、mRNA濃度を測定し、抗酸化酵素の変動についての時系列的なプロファイリングを行う。以下の成果を得た1. メヒルギ、オヒルギ及びヤエヤマヒルギの長期間(1、2、3か月)における塩分濃度応答性を検討した。概してSOD活性は塩分濃度に依存して葉では低下するが根においては増加した。GPX活性は葉と根の両方において塩分濃度により増加し、APX活性もほぼこれに類似した応答パターンであった。これらの成果より、APX, GPX及びCATのような過酸化水素の除去に関与している抗酸化酵素がマングローブにおける長期間の塩ストレス耐性においては重要な役割を演じていることが示唆された。2. ギガシーケンサーのデータをアセンブルして作成したオヒルギのcDNAのコンティグ配列から、抗酸化酵素のモチーフ配列を指標としてすべての抗酸化酵素の塩基配列を推定することができた。3. オヒルギの苗木を塩水処理した後の経日的(0.5、1、2、4、8、12、16、24、32日)な抗酸化酵素活性の変化を追跡した。SOD活性は処理後1日目に急激に上昇し、以降時間の経過に従って低下した。GPX活性は処理時間の経過に伴い増加し、APXとCATは4日目までは増加するが、その後は減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては塩ストレス負荷後の抗酸化酵素群の経時的或いは経日的な活性変化を追跡し、塩耐性機構全体における抗酸化酵素群の役割を明らかにすることを計画している。今年度はマングローブ植物の抗酸化酵素群の塩濃度に対する応答性及び時間経過に伴う活性変動を検討し、塩分負荷に対する活性発現レベルでの大まかなパターン1を明らかにしている。また、ギガシーケンサーによるオヒルギのトランスクリプトーム解析を行い、すべての抗酸化酵素のcDNA塩基配列を推定できており、研究目的の達成度は概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、オヒルギをモデルとして活性と遺伝子発現のデータを比較ることにより、塩ストレス適応における抗酸化酵素群の役割を、タンパク質及び遺伝子レベルで明らかにする予定である。そして、これらの知見とヤエヤマヒルギにおける経時的なトランスクリプトーム解析のデータとを連結し、耐塩機構全体における抗酸化酵素の役割を解明したいと考えている。
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Research Products
(2 results)