2012 Fiscal Year Annual Research Report
オミクスによるラフィド藻シャトネラ細胞の活力評価と赤潮被害軽減への応用
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12F02405
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大嶋 雄治 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QIU Xuchun 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | シャトネラ / peroxidoredoxin / 過酸化水素 |
Research Abstract |
当該年度(H24年度)は、(実験1)先行研究のプロテオーム解析により明らかにしているperoxidoredoxin(2-Cis Prx)のN末端アミノ酸配列情報(20残基)から縮重プライマーを作製し、Rapid Amplification of cDNA End (RACE)法によるmRNAの全塩基配列の解析を行う。得られた塩基配列からアミノ酸配列を決定し、機能の解析を行う。(実験2)次世代シーケンサーにより約500bp×10万リードのEST解析による主要発現遺伝子の解析を行い、タンパク質レベルおよび遺伝子レベルにおける増殖段階特異的に発現変動する分子種およびその配列を解析するという計画で研究を実施した。 (実験1)については、シャトネラの過酸化水素消去酵素である2-Cis Prxの塩基配列およびアミノ酸配列解析に成功し、立体構造予測を行った。さらに過酸化水素暴露による発現誘導解析を行った。その結果、シャトネラの2-Cis Prxは他の藻類・植物の同種タンパク質と有意な相同性を有しており、また過酸化水素の暴露によりその遺伝子発現が誘導されたため、光合成の副産物として発生する有毒な過酸化水素の積極的な消去に関与していることが予想されたため、細胞活力の指標としての可能性が示唆された。得られた成果はH24年度3月に開催された日本水産学会春季大会にて報告を行った。 (実験2)については次世代シーケンサー用のサンプル調整は行ったが、機器の不具合等の問題で、H24年度中は実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1については半年間の間に、当初予定の遺伝子解析だけでなく、H25年度に予定していた過酸化水素暴露による2-Cis Prxの発現誘導解析を行い、2-Cis Prxが過酸化水素により誘導されることが明らかになったため、本酵素の機能として光合成の副産物であり細胞に有害な過酸化水素の積極的な消去に関与していることが強く示唆された。実験2については次世代シーケンサーによる解析実施できなかったが、進捗の大きな遅れにはならないと考えている。以上、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、2-Cis Prxの過酸化水素による誘導性をタンパク質レベルで解析する予定である。また、現場海域のシャトネラ細胞を採取して、細胞の増殖能力と光合成活性(Fv/Fm比:光化学系IIの活性指標)、さらに2-Cis Prxおよび他の光合成関連分子の遺伝子・タンパク質発現等を解析していく。H24年度に予定していた次世代シーケンサーによる発現遺伝子の解析は他機関において同様の研究が実施されているため、そのデータの公開の有無により実施の判断を行う予定である。
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Research Products
(2 results)