2013 Fiscal Year Annual Research Report
オミクスによるラフィド藻シャトネラ細胞の活力評価と赤潮被害軽減への応用
Project/Area Number |
12F02405
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大嶋 雄治 九州大学, 大学院農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
QIU Xuchun 九州大学, 大学院農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | シャトネラ / 2-Cys Prx / 過酸化水素 |
Research Abstract |
交付申請書におけるH25年度研究実施計画に基づき、まず「2-Cys Prxまたはoxygen evolving enhancer等の発現量変動を指標とした、現場赤潮細胞を用いた増殖能力推定に関する実証試験」を行った。本年度、有明海においてシャトネラ赤潮が発生したが、シャトネラの捕食者による影響と推察される急激な細胞数の減少が観察され、調査予定日に十分な細胞数の海水が入手できなかった。そのためH24年度分の有明海赤潮サンプルについて、現場シャトネラの増殖速度、光合成活性とタンパク質発現量との関係を解析した。その結果、2-Cys Prx(前年度までのperoxiredoxinと同タンパク質)の発現量と増殖速度または光合成活性に正の相関が観察されたが、室内実験で増殖速度と有意な関係性が検出されたoxygen evolving enhancerについては現在細胞の増殖速度または光合成活性との間には有意な関係性は検出されなかった。以上の結果から、タンパク質レベルにおいて、2-Cys Prxの発現量がシャトネラの増殖速度評価指標として有望であることが示唆された。また同時に、光合成活性(Fv/Fm比)と増殖速度との間にも有意な正の相関が観察されたため、光合成活性の測定も増殖能力評価指標として、有用であると考えられた。得られた成果についてはH25年度3月に開催された日本水産学会春季大会にて報告を行った。 また、もう一つの計画「プロテオーム解析、および次世代シーケンサーによる主要発現遺伝子の解析と他の有用分子指標の網羅的探索」については、現在準備中であり、H26年度の研究期間中に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに2-Cys Prxの一次構造決定、過酸化水素による遺伝子レベルでの誘導性、室内・現場赤潮細胞を用いたタンパク質量発現解析等、本酵素の分子基盤の確立および赤潮消長予察の現場実証試験が当初の予定通り実施されてきた。また他の課題についてもH26年度の期間中に実施する予定であり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、課題は概ね順調に進展しており、H26年度においても計画内容の大きな変更なく実施していく予定である。
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Research Products
(1 results)