2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大下 誠一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU Shu 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノバブル / プロトン緩和時間 / 種子 / 発芽率 / 水の流動性 |
Research Abstract |
「研究の目的」 ナノバブルを含有する水の代謝促進効果の一つとして、オオムギ子葉鞘細胞内の原形質流動速度が増大する結果を得ている。この理由の一つに、ナノバブル含有水の流動性が挙げられる。そこで、ナノバブル含有水(バルク水)の流動性に関わる物理的な特性として、プロトンNMR緩和時間(T1およびT2)の測定を通して、ナノバブルの存在による流動性の変化を検討することを目的とした。また、代謝促進効果に関わる他の現象として、種子の発芽率への影響を検討する。発芽率が向上する理由としては、ナノバブルが有するゼータ電位の影響が考えられる。そこで、異なるゼータ電位を有するナノバブルを調製し、種子発芽率との関係を明らかにすることを目的とする。同時に、未発芽および発芽種子内のプロトン緩和時間の測定により、種子内の水の動的状態についてナノバブルの影響の有無を明らかにすることを目的とする。 「実験方法と結果(途中経過)」 超純水をコントロールに用いて、窒素ナノバブルを発生させ、常磁性物質である分子状酸素を含まない条件下で、コントロールの超純水と窒素ナノバブル含有水のプロトンNMR緩和時間(T1およびT2)を測定した結果、いずれもナノバブル含有水のプロトン緩和時間が長く、水の流動性に影響を与えることが示された。次に、純空気と酸素の混合ガスを蒸留水に導入してナノバブルを発生させ、通常の蒸留水が示す溶存酸素濃度8~8.5mg/L程度の溶存酸素濃度を有するナノバブル含有水を調製した。この溶存酸素濃度が同じでナノバブルを含まない水(コントロールの蒸留水)とナノバブル含有水についても、ナノバブルの存在によりプロトンMR緩和時間(T1およびT2)が長くなり、ナノバブルの存在が水の流動性に影響を与えることを明らかにした。さらに、ナノバブルがオオムギ種子の発芽率を向上させることを見出し(Liuら,2013)、データを蓄積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究概要の実績に記したとおり、ナノバブル含有水の流動性の変化をプロトン緩和時間から証明したこと、および、種子の発芽率の向上が実験的に確認されたことによる。平成24年11月1日からの研究であるため、研究発表は平成25年度に予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノバブルの存在が発芽率を向上させるメカニズムの解明のため、次のステップとして、同一の溶存酸素条件下でpHを変化させた場合の発芽率を検討する。現時点で、特段の問題点は無い。
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Research Products
(1 results)