2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02408
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大下 誠一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LLU Shu 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | Nanobubbles / Reactive oxygen species / Oxidative capacity / Germination / water mobility / spin-spin relaxation time |
Research Abstract |
「研究の目的」 ナノバブルの魚介類や植物への生育促進効果が報告されているが、定量的な報告は少なく、かつ、生育促進のメカニズムも明らかにされていない。そこで、このメカニズムの解明のために、(1)ナノバブル含有水の物理的特性およびオオムギ種子内の水の流動性に与えるナノバブルの影響、(2)ナノバブル含有水における活性酸素種の発生とその発芽率への影響を定量的に捉えることを目的とした。 「方法と結果」 (1)ナノバブルの数密度(単位体積の水中のバブル数)とNMRプロトン横緩和時間T2に正の相関があることを報告している(Liu et al.,Chemical Engineering Science 93, 250-256, 2013)。これは種子内の水の流動性を高める可能性を示すものであるため、本研究でナノバブル含有水とコントロール(通常のバルク水)に種子を浸漬したところ、前者に浸漬した種子の発芽率が高く、かつ、2成分に分かれるT2の長い成分がコントロールに浸漬した種子よりも優位に長いことが示された。 (2)ナノバブルによる活性酸素種の発生が、生長促進と殺菌という一見相反する効果を説明する鍵になる可能性を見出した。活性酸素種の1つであるヒドロキシルラジカルと特異的に反応してフルオレセインを生成する蛍光試薬APFを用いた結果、酸素ナノバブル含有水において強い蛍光強度が観察され、主にヒドロキシルラジカルと思われる活性酸素種の発生が確認された。このヒドロキシルラジカルの発生により種子の発芽率が促進されたと推察される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノバブルの存在によりバルク水の流動性が増大することを示す結果を得た。これはナノバブルが水分子間の水素結合ネットワークに影響を与えるとする我々のモデルを実験的に支持する結果である。さらにナノバブルにより活性酸素種が発生する事実を明らかにした。これらは、当初の計画を上回る結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)ナノバブルによる種子の発芽率促進のメカニズムを解明する。 2)ナノバブル含有水に浸漬した種子内における活性酸素種の発生を定量的に評価し、コントロールと比較することにより、ナノバブル含有水、すなわち、活性酸素種の発芽率に及ぼす影響を検証する。 3)ナノバブルによる活性酸素種の発生が水中の溶存酸素濃度とどのように関係するのかを実験的に検討する。
|
Research Products
(2 results)