2012 Fiscal Year Annual Research Report
青果物輸出技術最適化のためのCFDシミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
12F02410
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内野 敏剛 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUONG VanHung 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 数値流体力学 / フジコナカイガラムシ / 多孔質モデル / 気孔 / 高湿貯蔵 / 蒸散 / 輸出促進 |
Research Abstract |
本研究は、日本産の青果物を船便で大量に輸出する際に大きなネックとなっている青果物に生息する害虫の殺菌と輸送中の品質変化の問題を解決することを目的とする。本研究ではとくに(1)カキ等の害虫であるフジコナカイガラムシ殺虫のための炭酸ガス処理、及び(2)船便による長時間輸送中の青果物の蒸散を抑制する高湿度コンテナ内湿度分布予測、さらには(3)温度とガス環境を最適にする積荷の積載法(積み付け法)の三者を数値流体力学 (Computational Fluid Dynamics、CFD)により解決することに焦点を当てている。 平成24年度は、カキを輸送するコンテナ内においてカキのヘタ下に潜むフジコナカイガラムシを殺虫するのに必要な炭酸ガス混合気流速を得られるかどうかを検証するため、多孔質モデルを用いたシミュレーションを行った。シミュレーションでは十分なガス流速を得るため、補助ファンを庫内におくことを検討した。この結果、コンテナ内の詳細な風速分布を得、補助ファンを設置することによりカキ棚内を流れるガス流速が増加することは認められたが、流れは棚の上下を迂回し積載したカキ果実に十分到達していないことが明らかになった。 また、高湿度コンテナ内での蒸散抑制の機構解明のため、湿度と気孔開度の関係を調査した。すなわち、数水準の温度と湿度を設定した恒温恒湿庫内にホウレンソウを静置し、経時的にサンプリングして瞬間接着剤で型どりした試料の気孔を倒立型リサーチ顕微鏡により撮像し、画像解析ソフトにより気孔面積を測定した。この結果、ホウレンソウ内部と庫内の蒸気圧との差(飽差)と気孔面積との間には負の相関があることを見出した。また、実験結果から、蒸散時の物質移動係数を算出し、湿度変化から蒸散速度が予測できる可能性を見出した。 さらに、高湿度貯蔵庫内の湿度分布のCFDモデルを開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は外国人特別研究員の着任に合わせ、昨年の9月から開始した。3月現在で、炭酸ガス施用法については貯蔵庫内の風速分布のシミュレーションが可能となっており、着実に研究は進展している。高湿度輸送コンテナの研究では庫内湿度分布の解析が十分ではないが、湿度と気孔開度の関係については計画より進み、湿度変化予測の可能性にまで言及できており、7ヶ月という短期間であることを考えれば、順調な進捗状況と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は炭酸ガス施用法については、今年度の研究で明らかになった不適切なガスの流れを是正するため、補助ファンの最適位置、積み付け法の最適化等をシミュレーションにより明らかにしていく。 また、高湿度輸送コンテナの研究はCFDモデルを完成させ、コンテナ内の湿度分布を算出し、ミスト発生量、温度、エアコンの吹き出し空気速度と湿度分布の関係を明らかにし、最適な値を見出していく。湿度と蒸散量の関係は今年度の研究で十分でないデータもあることから、これらの追試を行い、精度を高めたい。 さらに、最適な温湿度、ガス環境を得るためには積荷の位置は重要な要因であることから、積み付け法についてもCFDにより検討していく。
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Research Products
(1 results)