2012 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類卵管の抗菌ペプチドによる自然免疫機能の強化戦略
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12F02411
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDELMAGEED AhmadMohammad 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ニワトリ / 卵管 / 自然免疫 / 抗菌ペプチド / ハーブ成分 / Toll様受容体 / サルモネラ菌リポ多糖 / サイトカイン |
Research Abstract |
ニワトリ卵管の宿主防衛機能は、感染による卵形成機能の障害を防ぎ、微生物に汚染されていない卵を産生するために必須な機能である。私達は、卵管で微生物パターンを認識するToll様受容体により微生物が認識され、その刺激を受けると下流で炎症性サイトカインや抗菌ペプチドの鳥βディフェンシン(AvBD)が産生されるという自然免疫機能が存在することを示した。しかし、抗菌ペプチドによる自然免疫機能の強化法は開発されていない。本研究はエジプト等で生産されるハーブのニゲラ成分によりこの免疫機能を賦活できるかを追究するものである。本年度は産卵鶏の卵管子宮部で発現するAvBDの種類を再確認し、このAvBDと炎症性サイトカインの発現がサルモネラ菌成分のリポ多糖(LPS)に応答して高まるか、そしてこの応答性がニゲラ成分のメラニンによって増強されるかを解析した。今年度における遺伝子発現解析は主にRT-PCR法で行った。その結果、白色レグホン産卵鶏の子宮部に発現するAvBD11とAvBD12、IL1β、IL6、IL8のうち、サルモネラ菌LPSとニゲラ成分のメラニンによってAvBD11とIL6の発現が増加する傾向を示した。AvBD12、IL1βとIL8への影響はさらに解析中である。さらに、LPSによるAvBD発現の誘導性がメラニン投与によって増強されるかも解析しているが、現在のところ明確な増強作用は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年11月に来日後、5か月間で、実験系の立ち上げを行い、子宮部のトリβディフェンシン(AvBD)発現に及ぼすサルモネラ菌LPSとハーブ成分の影響、そしてLPSの作用をハーブ成分が増強する可能性について基礎的知見を得ることを目標としていた。判定量RT-PCR法でこの基礎的知見を得たのでおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた知見を基礎に、子宮部AvBD発現に関連して、細菌成分に対する応答性に及ぼすハーブ成分の影響を、定量PCR法により高い精度で解析して結果を充実させる。この結果が得られれば、その機構を細胞内情報伝達能との関連からハーブ成分の有用性を検証していく。なお、ハーブ成分にはニゲラのチモキノンを使用すると計画していたが、入手が可能で、同じく免疫増強作用があると考えられているニゲラのメラニンを用いることにする。
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