2013 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類卵管の抗菌ペプチドによる自然免疫機能の強化戦略
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12F02411
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉村 幸則 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDEL MAGEED Ahmad Mohammad 広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ニワトリ / 卵管 / 自然免疫 / 抗菌ペプチド / ハーブ成分 / Toll様受容体 / サルモネラ菌リポ多糖 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究はニワトリ卵管の宿主防衛機能の強化を目指しており、新規な卵管の免疫機能の解明と、ハーブのニゲラ(Nigella sative)成分によりこの機能を賦活できる可能性を追究している。これまでに、微生物成分を認識するToll様受容体(TLR)とNoD様受容体(NLR)が卵管に発現すること、そして抗菌ペプチドのドリβディフェンシン(AvBD)が卵管に発現することを確認した。本年度は卵管のNLR発現に及ぼす卵管の発達と性ホルモン、ニゲラ成分であるメラニンの影響を解析し、またTLRとNLRのリガンドによる刺激が卵管の炎症性サイトカインとAvBD発現に及ぼす影響を追究した。鳥類で検出されているNLRのNLRC5遺伝子発現を解析すると、卵管各部の粘膜で発現すること、発現は産卵期より休産期で高く、休産期にエストロジェン刺激して発達させた卵管では低下することが認められたので、この発現は性ホルモンと関連しており、休産期に退縮した卵管で高まると考えられた。一方、ニゲラ成分によるNLRC5への影響は認められなかった。次に、TLR3、5、21の微生物成分リガンドであるポリI : C(ウイルスdsRNA), フラジェリン(細菌鞭毛成分)、CpG-ODN(微生物オリゴDNA)で卵管粘膜を刺激すると、炎症性サイトカインのIL-1βとIL-6の発現は上昇したが、AvBDの発現は変化しなかった。一方、IL-1βとIL-6で刺激すると、AvBD発現は上昇した。これらの結果から、TLR3、5、21刺激は炎症性サイトカインを上昇させて、これがAvBD発現を誘導することを示唆した。このことはTLR4のリガンドであるリポ多糖が炎症性サイトカインとAvBDの両方を直接的に誘導するという先の報告とは異なるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵管のNLR発現がニゲラ成分であるメラニンによって増加することを期待していたがその影響は認められなかった。しかし、いろいろなTLRのリガンドは炎症性サイトカインの発現を増加させ、これがAvBD発現を誘導するという新しい知見を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は抗菌ペプチドによる卵管の自然免疫機能を強化するための基礎的な機能解明を目的としている。このために抗菌ペプチドの発現調節機構を追究し、これを刺激すると期待される1つの方策としてハーブ成分による刺激の影響を調べた。現在のところハーブ成分による強化作用は検出されていない。今後は、将来にハーブ成分等の有効性を検討していくための基礎となる、卵管のサイトカインと抗菌ペプチドの発現調節機能の解明に重点を移すように変更する。
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Research Products
(4 results)