2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02412
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIJEWARDANA Viskam 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 遺伝子導入 / 人工ベクター / リポプレックス / ポリマー改変リポソーム / PG complex |
Research Abstract |
本研究では、癌組織内の微小環境を細胞性免疫の活性化に有利なものに改変し、それが樹状細胞(DC)による癌免疫治療の治療効果に与える影響について検討することを目的とする。この微小環境改変ための方法として、細胞性免疫を活性化するサイトカイン遺伝子を癌細胞内へ導入して癌細胞から分泌させることを計画し、今年度においては、その第一段階としてより高い遺伝子導入効率を得るための人工ベクターの調整を試みた。人工ベクターは、まず、遺伝子(cDNA)を陽荷電リン脂質で包んでリポプレックスを作製し、その外側にカルボキシル化ポリグリシドール(PG)を結合させたリン脂質膜小胞(ポリマー改変リポソーム)を複数結合させてPG complex作製する。カルボキシル化PGによって、リボソームとリソゾーム膜との融合を高め、遺伝子を細胞質内へ効率的に導入することができる。(1)リポプレックスの導入効率は脂質における構成アミノ基数対DNAリン酸エステルの比(N/P)を総合した荷電の強さによって変化し、PG complexの導入効率は脂質中のカルボキシル基対内包する核酸の比(C/N)を総合した荷電の強さによって変化する。Green fluorescent protein(GFP)のcDNAを用いて、最初、in vitroで腫瘍細胞株への導入を検討したところ、N/P=8のリポプレックスで最も高い導入率が得られ、付着性細胞では20%以上、非付着性細胞では5%以上であった。次に、N/P=8の条件でPG complexを作製して検討したところ、特にC/N=5で導入率の向上がみられ、非付着性細胞では10%以上となった。in vitro実験で得られたN/P=8,C/N=5の条件で作製したPG complexを用いて、マウスの皮下に成長させた腫瘍株についてin vivoでのGFP遺伝子の導入を検討したところ、導入率は3%以下であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に予定していた研究計画においてあまり良好な結果が得られなかったので、これを解決するための検討を来年度に行う必要が生じたため
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)in virvoにおける遺伝子導入については、導入遺伝子(ベクター)量の増加およびベクター組成の改変を行い、導入率の向上をめざす。 (2)次段階として、宿主マウスに増殖させた腫瘍細胞中にマウスインターフェロン(IFN)γの遺伝子を導入してIFNγを腫瘍微小環境中に産生させ、そこにDCを注入して腫瘍に対する治療効果をみる。 (3)(1)で期待通りの成果を上げられなかった場合には、遺伝子導入以外にDCによる癌治療効果を向上させる方法を検討する。
|