2013 Fiscal Year Annual Research Report
学習および記憶を使った農業被害防止に向けたカラスの行動制御
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12F02413
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BEZAWORK Afework Bogale 宇都宮大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | カラス / 行動 / 学習 / 記憶 / 農業被害対策 / 電気刺激 / 図形 / 侵害刺激 |
Research Abstract |
25年度は、様々な色彩の止まり木を作成し、特定の色の止まり木には侵害刺激である電気を通電させ、色と侵害刺激の関係を学習させる実験を行った。例えば、赤、青、緑、黄の止まり木を作成し、赤に通電しておく。カラスは赤に止まった時に電気ショックを受ける。この実験においては、哺乳類用電柵に使用する電源と装置を適応したが、電力が弱く、顕著な学習効果は得られなかった。色と刺激の組み合わせた実験については、26年度においても引き続き取り組む必要がある。一方、カラスの学習と記憶についての単独の実験では、まず一つとして、図形の認識実験を行ったが、学習の成立はかなり図形にバリエーションを付けても学習可能なことが分かった。即ち、三角形などは、正三角形、矢尻様の三角形などを含んだ概念の三角形として認識できることが分かった。さらに、幾っか数が異なるシンボルを刺激として学習実験を行ったが、カラスは数量の概念があることが分かった。即ち、数量の大小を模様の数などから識別することが可能な動物である。また、複雑な図形や写真の変化についても容易に学習が成立することが分かった。これらの実験は、ペラント法による択一実験により検証した。また、カラスの特定のエリアの行動解析を飛翔軌跡から解析し、忌避行動初期のカラスの行動様式についても調べ即ちGPSによる行動把握を行い畜舎への飛翔が周年を通じて多いことが分かった。さらに、詳細な解析により現場において侵害刺激(電気ショック)の設置場所の確定に繋げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度においては、学会発表は4件行っている。さらには、論文が1報国際誌に掲載されこと、また1報が国際誌に受理されている。このような実績があり、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
①カラスの忌避行動誘発に様々な視覚的色、図形を用いるために、カラスがどのような形や色彩、図形において学習能率が早いかを明らかにする。また、刺激により記憶が異なるかを調べる。 ②1年目は、侵害刺激として、弱電刺激を用い、どの程度の電流、電圧が効果的かを明らかにすることを行ったが、さらに強い刺激を必要なことが分かったため、電力の出力を検討する。 ③群の中でその刺激を受けた個体あるいはそれを見て学んだ個体群が記憶や模倣学習を基に侵害刺激(色彩と電気ショックを組み合わせたもの)を見て寄らなくなるという行動制御が成立するかを明らかにする。
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Research Products
(4 results)