2012 Fiscal Year Annual Research Report
生きたマウスでp53からATMへのフィードバックループの動態を解析する
Project/Area Number |
12F02415
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CANDEIAS MarcoMarques 京都大学, 生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | FRET / ATM |
Research Abstract |
ATMバイオセンサーを発現するトランスジェニックマウスがATM活性を検出するのに十分な系であるかを確認するのが本年の研究目的である。まず、ATMバイオセンサー発現トランスジェニックマウス(ATM-FRETマウス)から腹腔マクロファージを単離した。試験管内でエトポシドによるDNA損傷を与え、ATM活性化を検出した。比較的ゆっくりしたタイムコースであったがATM活性化が観察できた。従って、バイオセンサーの発現量は十分であり、実験に用いることができることが確認できた。次に、intravital imagingの系をセットアップし、生きたマウスの筋肉細胞でのATM活性化を二光子顕微鏡を用いて観察した。放射線傷害を与えたのちにATM活性化が起きないかを調べたが、ATM活性化は検出限界以下であった。放射線傷害の条件等をさらに検討する必要があると思われる。一方、ATMとp53の関係を調べるために、試験管内で予備実験を行った。すなわち、p53野生型細胞とp53欠損細胞に対し、エトポシドによるDNA損傷を与え、ATM活性がどのように変化するかを解析した。この目的のために、数日にわたる観察系を作成し、ATMが数日のタイムコースで活性変化を起こしていることが確認できた。さらにこの系にp53の様々な変異体を導入するために、発現ベクターを準備した。これらは臨床検体にて観察される変異でる。また、今後の実験に供するためにATMバイオセンサー発現トランスジェニックマウスをC57/B6にバッククロスを続け、5代を経過した。今後、さまざまなC57/B6系統の変異マウスと交配してATMの意義を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に予定していたATMバイオセンサー発現トランスジェニックマウス(ATM-FRETマウス)から腹腔マクロファージを単離し、試験管内でエトポシドによるDNA損傷を与え、ATM活性化を検出する実験は、ぼぼ想定した通りに進んだ。また、この実験を通して本トランスジェニックマウスが使えることも確認でき、これも計画した通りである。intravital imagingの系のセットアップしと生きたマウスの筋肉細胞でのATM活性化を二光子顕微鏡を用いて観察する系はうまくできたが、放射線傷害によるATM活性化は検出できていない。これは、今後、条件検討が必要であるが、概ね順調に進んだと言える。また、今後の実験に供するためのバッククロス等も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
個体レベルでのATM活性のオシレーション機構を解析する。 1.上記、intravital imagingシステムを使ってATMの活性変動機構を解析する。まず、エトポシド等のDNA損傷を与える薬剤を静脈あるいは腹腔経由で投与し、ATM活性化が観察できるかを調べる。 2.同様の実験を、ガンマ線照射により行う。 3.ATM活性化に及ぼすp53遺伝子の役割を明らかにするために、p53欠損マウスと交配し、同様の実験を行う。
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