2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS/ES細胞を用いた高感度発達神経毒性試験
Project/Area Number |
12F02416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAILENDRA Sarma 東京大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ES細胞 / iPS細胞 / 毒性評価 / ヒト |
Research Abstract |
(研究目的)胚性幹細胞試験(EST)は欧州代替法評価センター(ECVAM)の定めた胎児毒性試験代替法のひとつとして使用されている。一方、新薬も含めた未知の新しい化学物質に対するヒトの感受性や個人差をヒトES/iPS細胞を用いた評価系で検証する試みが進んでいる。当研究室でもヒトの神経系発達毒性の試験系開発の戦略の一つとして、ヒトES/ips細胞から成熟神経細胞を分化させる培養系を用いた発達神経毒性試験の開発を行っている。近年、マウスES細胞とヒトES細胞を類似の分化培養系で並列して試験することにより、代表的な発達神経毒性物質であるメチル水銀の作用が、ヒトの細胞で特徴的な様態を示すことを見出し報告した。しかし、我々が現状保持する培養システムでは評価法に迅速性、安定性の面で問題が多く更なる改良が必要である。そこでライブイメージングによるハイスループット系に持ち込むため、目的の細胞に特異的な分化マーカー遺伝子発現で標識される細胞株の作成を試みる。本研究では分化マーカー遺伝子(神経系細胞マーカーとしてMAP2とTH、肝細胞マーカーとしてALB)プロモーターでEGFPをドライブさせた複数のヒトES/iPS細胞を作成し、ヒト多能性幹細胞試験(Human Pluripotent Stem Cell Test Battery,hSTB)の構築を目的とする(計画調書にはhPCTBと記載したが略号変更)。 (進捗状況)(2012年12月~2013年3月:4ヶ月) 1)導入プラスミドベクターの検討と作成:ヒトの3種の遺伝子(MAP2,TH,ALB)の適切なプロモーターな配列をロングPCRで増幅した。TKミニマムプロモーターを含むルシフェラーゼベクターならびにEGFPベクターに接続した。 ヒトES細胞にこのコンストラクトを遺伝子導入した。 2)ヒトEs/iPs細胞の取扱い練習:ヒトEs細胞(KhBs-1,KhFs-3(京都大学より導入済み)、HUOES2,HUES4(ハーバード大学より導入済み))およびヒトiPs細胞(HPS0002,HPS00063,理研バイオリソースセンターより導入済みおよび導入予定)の維持培養をSNLフィーダー細胞による共培養系で実施しするトレーニングを見学した。マウスES細胞による培養を実施し、これをもとに部局倫理委員会よりヒトES細胞使用が許可された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)導入ブラスミドベクターの検討と作成は完了した。具体的にはヒトの3種の遺伝子(漁P2,TH,ALB)の適切なプロモーターな配列をロングPCRで増幅、EGFPベクターに接続した。ES細胞以外のヒト細胞株で発現レベルを試験し、目的に近い発現を確認した(当初計画では記載していなかった試験内容)。レトロウイルスへの組換えはまだ行っていない。 2)ヒトES/iPS細胞の取扱い練習:Sarma博士のヒトES細胞使用に関して、部局倫理委員会の承認がおりた。マウスならびにヒトES細胞の維持分化培養実験を見学し、トレーニングをスタートした。なお分化培養は受入研究者である研究代表者(大迫誠一郎)と技術補佐員によって行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト多能性幹細胞へのレポーターDNA遺伝子導入は、エレクトロポレーションやウイルスベクターなど効率の高い方法で行うことが必要とされているが、現状ではリポフェクションの改良も視野に入れるべきと考えられる。今後の試験計画でレトロウイルスを計画しているものの、近年改良が進むリポフェクション試薬による遺伝子導入が成功すれば、それに統一したいと考えている。もって低コスト高効率の細胞株樹立を推進できるものと期待される。
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