2012 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞による腫瘍内CD8+T細胞の活性抑制に関する研究
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12F02423
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 志文 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ADEEGBE Olakunle 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | T細胞 |
Research Abstract |
24年度の研究進捗状況として、以下に上げる研究計画目標を達成した。 現在までに皮膚腫瘍マウスモデルを立ち上げ、腫瘍に浸潤しているCD8+T細胞の表現系の解析を進めている。この中で、浸潤CD8+T細胞は慢性感染症などで見られる疲弊免疫細胞のマーカーとして用いられているPD-1分子を高発現し、ガン細胞を効率よく殺す能力が低下していることが分かった。非常に興味深い知見として、さまざまな免疫反応の制御に関わっている制御性T細胞がこの機能低下した疲弊CD8+T細胞の表現系に関与していることが分かってきた。すなわち、実験的に制御性T細胞を除去することによって、ガン組織に浸潤している疲弊CD8+T細胞の割合が低下し、CD8+T細胞のガン細胞に対する殺傷能力に回復が見られた。これらの新規知見は、制御性T細胞がどのようにして自己組織から発生する腫瘍に対して免疫応答を抑制しているのか、またこれまで明らかになっていたかった疲弊CD8+T細胞の産生メカニズムを解き明かす一助となりうる。さらに、これらの分子基盤を確立することによって、新規の作用点を持った抗がん剤を生み出すのに役立つ可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制御性T細胞によってコントロールされる腫瘍浸潤CD4+,CD8+T細胞の表現解析は順調に進んでいる。さらに重要な進捗として、腫瘍浸潤CD8+T細胞が高発現する受容体として同定した抑制性受容体をターゲットにした治療実験も現在進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である抑制受容体をターゲットにした担がんマウスに対する抗体治療実験の結果が近く判明する予定である。この実験の成否に関わらず、同じ腫瘍モデルを用いて、この抗体投与群と抗体投与に加え制御性T細胞を同時に除去する実験群の研究をスタートする予定である。さらに、担がんマウスの制御性T細胞を除去後、機能回復した腫瘍浸潤CD8+T細胞を養子移入する実験も計画中である。これらの実験を通して、制御性T細胞を操作することによって機能不全に陥ったCD8+T細胞の抗腫瘍機能を回復させることが可能かどうかなど評価することが可能になる。
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