2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアダイナミクスによる糖・脂質代謝調節機構の解明
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12F02426
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Lixiang 九州大学, 大学病院, 外国人特別研究員
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Keywords | ミトコンドリアダイナミクス / Drp-1 / 小胞体ストレス / 臓器間連関 / 非アルコール性脂肪肝炎 / インスリン感受性 |
Research Abstract |
1. NASHモデルの検証 : NASH発症におけるミトコンドリアダイナミクスの役割を明らかにした。①組織学的検討 : 炎症性マーカー(F4/80, MCP-1)発現亢進、肝細胞のアポトーシス(TUNEL)さらにネクローシス(核の膨化)の増加、肝繊維化(Picrosirius Red Stain)の増加を確認。電顕でミトコンドリアの形態異常(膨化)に加え、小胞体の膨化、断裂といった形態異常を明らかにした。②遺伝子発現解析 : マイクロアレイ法により遺伝子発現を解析した。脂質合成・分解に関与する遺伝子群の発現量に著変は認めなかったが、小胞体ストレスマーカーであるP3, ATF4が50-100倍増加を認めた。③野生型およびDrpLiKOマウス肝臓よりミトコンドリアを単離し、呼吸活性、ミトコンドリア膜電位を測定したが、有意差は認めなかった。また細胞内ATP濃度にも有意差は認めなかった。Drp1の欠損によりミトコンドリア形態および動態に変化を認めるが、呼吸活性には全く影響がみられないことを明らかにした。 2. 肝ミトコンドリアダイナミクスを標的とした創薬研究 : siRNA, dnDrp1による肝臓でのDrp1のノックダウン、機能阻害を行った。Drp1に対する2種類のsiRNAを合成し、RSMENDに搭載し、野生型マウスの尾静脈より投与。1,3,7日後の肝臓におけるDrp1の発現をwestern blot法を用いて確認した。コントロールとしてScramble RNAをMENDに搭載したものを用いた。Drp1siRNA投与群で、3日目でDrp1の発現が40%に低下、7日目には発現が回復していた。次に投与後3日目で耐糖能を評価したところ、Drp1ノックダウン群で耐糖能の改善をみとめ、筋肉でのインスリン感受性の亢進を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半年間で当初の予定どおりに進展した。特に臨床応用を目指した、肝臓でのDrp1ノックダウンがsiRNAおにて予想どおり観察でき、さらに耐糖能の改善を個体レベルで評価、確認できた。筋肉組織でのインスリン感受性の亢進を確認したが、今後さらに脂肪組織においても評価を行う必要がある。また、ノックダウン後の経時的なインスリン感受性に関しても評価を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに以下の研究計画を遂行する。個体レベルでの糖・脂質代謝解析 : Drp1LiKOマウスを用い、摂価量、酸素消費量、呼吸商、体温、血圧等の代謝パラメーター解析を完了する。 肝ミトコンドリアダイナミクスを標的とした創薬研究 : 遺伝子レベルでの網羅的調査 : マイクロアレイを用いてDrp1LiKOで変化する遺伝子群を網羅的に同定し、ミトコンドリアダイナミクスと神経シグナルをつなぐ候補分子の同定を行い、新たな治療標的分子の探索を行う。
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Research Products
(4 results)