2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい非線形分光法による固体界面の電荷ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
12F02504
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田原 太平 独立行政法人理化学研究所, 田原分子分光研究室, 主任研究員
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MYALITSIN Anton 独立行政法人理化学研究所, 田原分子分光研究室, 外国人特別研究員
|
Keywords | 界面 / 非線形分光 / 電子和周波分光 / ダイナミクス / 電荷分離 / フェムト秒 |
Research Abstract |
凝縮相の基本的分子ダイナミクスの研究では多様な分光実験が行われ、分子レベルでの詳細な知識が得られている。これに対して界面におけるダイナミクスに対する知識は未だきわめて限られている。しかし、界面は生物科学、環境科学、電気化学をはじめとする広い分野で重要とされる場であり、そこにおける現象・ダイナミクスの理解は、きわめて重要である。つまり、界面の静的物性および動的ダイナミクスの解明は分子科学の急務の問題であるとともに未踏の重要課題と言える。われわれはこのような問題意識をもとに研究を行い、これまでに一群の新しい界面選択的非線形分光法を開発してきた。これらはいずれもオリジナルなもので、その多くが未だ世界でわれわれのみしか用いることができない。これまでこれらの新しい非線形分光法を用いて液体界面の研究を行ってきたが、他の界面の研究にも強力である。本研究では、われわれが開発した新しい非線形分光、特に電子和周波発生(ESFG)分光法およびそのヘテロダイン検出を駆使して、固体界面の電荷ダイナミクスの研究を行うことを目的とする。電荷分離およびその再結合過程は極めて重要で、太陽電池の開発など緊急度の高い応用にも強く関連している。これまでにもバルク中のダイナミクスは様々な時間分解分光によって研究されているが、これらの過程の界面でのダイナミクスは適当な実験方法が存在しなかったためにほとんど分っていない。Myalitsin博士はこれまでナノ粒子の研究を主として行ってきており、先端的な非線形分光に関する研究の経験がない。特に、われわれの研究室で行っているようなオリジナルな装置を用いた実験を行うためには、先端的分光実験に関する基本的技術を取得する必要がある。そこで平成24年度は、われわれが開発したESFG分光法を用いて、金属酸化物の表面電子スペクトルを測定しながら基本的技術の習得を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Myalitsin博士は、われわれが独自に開発した先進的な界面選択的非線形分光であるヘテロダイン検出電子和周波発生分光の装置を用いてスペクトル測定を行えるようになった。計画通り、順調に基本的技術の取得が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
独自に開発した先進的な界面選択的非線形分光であるヘテロダイン検出電子和周波発生分光を用いて固体界面を研究する。特に固体界面に対するヘテロダイン検出電子和周波発生分光の時間分解測定を実現し、界面における電荷ダイナミクスの観測を目指す。
|