2013 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災後の復興における「死」を巡るポリティックス : 記憶、宗教と国家
Project/Area Number |
12F02702
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 岩弓 東北大学, 大学院文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BORET Sebastien 東北大学, 大学院文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 記憶 / 社会的復興 / 死生観 / 震災 / 津波 / ポリティックス / 宗教 / 供養 |
Research Abstract |
本研究では、東日本大震災の被災地におけるフィールドワークを通じた、(1)コトバとして語られる被災者たちのナラティブ分析と、(2)モノとしての慰霊追悼の施設に注目した聞き取り調査を二つの柱として実施した。 研究対象として取り上げたのは、東日本大震災による津波で壊滅的打撃を受けた名取市閖上地区である。閖上地区の被害は甚大で、900名を超える死者が出ていた。現地の人々との間の関係を作った上で、積極的にBoret君と現地でインタビューをしてまわり、NPO団体、宗教者、行政等との関係を構築した。その際フィールドにおける基礎的な調査内容として、身近な人を亡くした悲劇的な出来事の経緯の聴取と、そうした死者を記憶に留める機会ともなる慰霊追悼の機会への参加を目指した。特に、平成25年3月11日に愛島仮設住宅で遺族団体が開催した丸三年、四回忌のメモリアルに参加したことは有意義であった。その際、参加者の間で「閖上の記憶」という活動を行っている語り部に関する調査を行ってきた。またその関連で、閖上現地で慰霊碑を造成する為出来た活動に参加した。聞き取ったインフォーマントの語り口からは、記念・追悼行事を行おうとすることの意味や形式についてさまざまな重層性があることを窺い知ることができ、今後の分析に有効な資料となるものと思われる。 また更に、被災地を南相馬市から岩手県南まで渉猟し、東日本大震災に関わる各慰霊碑関連情報を収集した。特にBoret君が作成したデータベースと地図が出来上がったことは大きな成果である。こうした資料は、震災に関するシンポジウム・研究会における資料として使用し、萌芽的な研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
閖上の歴史や風土に通じていて、閖上の記憶の多くを語れるインフォーマントが、「閖上の記憶」という施設を中心に活動していることを知った。「研究目的」達成に良いインフォーマントであるため、何度も面談する機会を設けることで、彼から協力を得ることが出来る人間関係が構築され、年度末から貴重な証言を徐々に集めている段階である。こうした状況は当初予想していた通りで、研究の進め方としては順当なものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の三年目は東北大学を拠点に、一次的データの収集や定性分析をする予定である。まずは今までフィールドワークで収集した情報を纏めて、「Mourning, Memory and Reconstruction in Post-Disaster Context」と言う編集版の為に論文を創作する予定である。また言説の比較研究を続け、インドネシアで2004年に発生した大津波の事例についても、第二調査する予定である。更に、上智大学の島薗進教授と人類学者の山下晋司, 上智大学のスレター・デーヴィッド教授などと協力して、東日本大震災に関わる「東北の声」というディジタルアーカイブを造作する。そのため、上智大学の学生が閖上現地区で災害者にインタビューをした映像を作成する予定である。
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Research Products
(7 results)