2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02705
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARNAUD Coline 京都大学, 野生動物研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ニホンザル / 遺伝子 / 行動 / 血縁 |
Research Abstract |
動物の性格(行動特性)の、多様性維持と進化の機構の解明は、近年の行動生態学の重要なテーマの一つである (Dingemanse & Reale 2005 ; van Oers & Sinn 2011)。非ヒト霊長類においては、性格の表出の多様性、さらには遺伝的背景の研究が行われてきた(Adams 2011)が、進化的視点での研究はなかった。 性格の評定方法としては、主に飼育個体において、観察者へのアンケートによる評定が行われていた(Weiss et al, 2009)。鳥類や哺乳類の各種で行われているような行動テストを野生霊長類にも応用すれば、新たな視点で性格評定を行うことができる(Reale et al. 2007)。 本研究では、長期にわたる観察により母系の血縁が判明している野生ニホンザル集団を対象として、性格の進化過程の解明を目指した。具体的には、家系と行動の情報にもとづいて、性格の遺伝様式、選抜淘汰の有無、性別や性格要素同士の関連、性格の可変性および可変性の進化などを、Quantitative geneticsの手法を用いて解析する。 1.遺伝子型判定による父系の血縁の解明 血縁の解明のためには、死亡個体も含め125個体を解析する必要がある。試料の無い個体について、2013年2-3月の訪問で、新たに70の糞試料を採敢した。25年度は、未採取の18個体分の試料を採取する必要がある。これまでに95個体について、17マーカーの型判定を行った。 2.行動テスト 2012年11月に幸島を訪問して、予備実験を行い、2013年2-3月にデータ採取のための実験を行った。 新奇性を測定するため、新奇物体(ぬいぐるみ)と新奇食物(ウズラのゆで卵)への反応テストを、それぞれ132回、65回行った。全個体数の72%、32%が少なくとも1回はそれぞれのテストを受けた。個体あたりの試行数は1.98%、1.81%であった。ビデオカメラを用いて、サルの行動を記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
父性解析のためのDNA試料は、一部個体については新たに採取する必要があった。一方、行動実験では大きな成果が得られた。全体としては当初計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子型判定による父系血縁の解明:前年度に引き続き、遺伝子型判定による父親の解析を行う。多様性が少ない場合はマーカー数を増やすなどして、できる限り確実な判定を目指す。 行動テスト:行動実験については、昨年度に収集したデータを解析し、予備的な結果をまとめる。また非繁殖期のデータを得るために、5-6月に幸島を訪問して行動実験を行う。データが必要な場合は年度後半にも行動実験を追加する。血縁と行動の関連性を解析し、予備的な研究成果を、日本霊長類学会(岡山)で発表する。
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Research Products
(2 results)