2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02726
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VICTORIA Peddie 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | カイメン / 培養細胞 / がん細胞 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
本研究では、探索源としてカイメンを選定した。当研究室で過去20年にわたりわが国沿岸各地でスクーバダイビングにより、または、わが国周辺の海丘の頂上などでドレッジにより採取したカイメンを中心とする無脊椎動物を探索源とした。探索の指標とする生物試験として、本年度はHeLa細胞に対する細胞毒性を選定した。はじめに、上記試料の粗抽出物を液体クロマトグラフ-質量分析(LC-MS)分析に付して、未知化合物と思われる分子量およびクロマトグラフィーにおける挙動を示す化合物が含まれるカイメン試料(試料番号S08-353)を選定した。まず、少量のカイメンを抽出し、溶媒分画および各種クロマトグラフィーによって分画物を取得した。これらについて細胞毒性試験を行ったところ分子量が1000を越えるピークを含む2つの画分に活性が認められた。そこで、構造決定に必要な量の化合物を取得するために、大量のカイメンを抽出して、同様に分画を実施した。抽出、溶媒分画、およびオープンカラムを用いたクロマトグラフィーまでは、少量の試料を用いた実験とほぼ同様の結果が得られ、目的とする画分の増量に成功した。しかし、精製の最終段階の液体クロマトグラフィーで得られた画分の純度が期待したほど上がらなかったこと、および、目的画分がどのような溶媒を用いても可溶化しなかったことなどのため、まだ、純粋な化合物を得るに至っていない。液体クロマトグラフィーの固定相を検討してさらに精製を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料の量が少ないため慎重に実験を進めたことが、研究がやや遅れた理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回のカイメンから活性物質が得られるなら、その構造研究を進める。構造研究に必要な試料量を確保できない場合は、別のカイメンからの活性物質の探索を行う。
|