2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02752
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂免 一成 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KALOUSEK Vit 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機ハイドライド / 水素 / 光電極 / 太陽エネルギー変換 / 非酸化物半導体 |
Research Abstract |
水素は液化しにくい気体であり輸送や貯蔵に問題がある。このため、メチルシクロヘキサンなどの有機ハイドライドに変換し、水素キャリアとして輸送や貯蔵をすることが有力視されている。本研究ではp型半導体であるCu-Ga-Se系やCu-Zn-Sn-S系などの半導体を用い、光照射による水素発生や、有機ハイドライドの直接生成に関する研究を行った。 2012本年度は、MoメッシュにCu-Zn-Sn-S系材料を電析・硫化法で、Cu-Ga-Se系材料を多元蒸着法で作製して電極とした。得られた電極はp型半導体特性を示し、CdS、Ptで修飾することで、水からの水素生成反応に先行研究と同程度の活性を示すことを確認した。先行研究において問題となっていたトルエン相、水相、光電極の3相界面の作り込みのためにイオノマーの量やホットプレス法の条件を検討したが、性能と再現性の両面で課題があり、金属メッシュを膜・電極接合体として用いることに問題があると判断した。 金属メッシュを使用しない膜・電極接合体と光電気化学系の開発を目指して、カーボンブラック担持白金をカーボンペーパーにスプレーした電極をカソードに、n型半導体電極を光アノードに用いることを検討した。反応系の概念実証のため、n型半導体にはNbがドープされたSrTiO3単結晶を用いた。NbドープSrTiO3を光励起することで光電流が流れ、トルエンがメチルシクロヘキサンに継続的に変換される様子が観察された。カーボンペーパーを用いた膜・電極接合体の作製やメチルシクロヘキサンの定量、ファラデー効率の測定の信頼性の問題は残っているが、膜・電極接合体の作製条件や反応条件を検討することで解決し、論文の執筆に必要な実験を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Moメッシュをベースにした膜・電極接合体の作製を通じて膜・電極接合体作製上の課題を抽出した。研究計画に従ってカーボンペーパーをベースとした膜・電極接合体の開発に取り組み、概念実証のための実験を行った。膜・電極接合体作製の信頼性を向上させ、反応開始電位やファラデー効率等を系統的に測定することで、成果を論文としてまとめることが可能と判断できる段階まで研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度の成果をまとめるため、カーボンブラック担持Ptが担持されたカーボンペーパーをカソードとして用いた膜・電極接合体の作製法を確立させる。上記の膜・電極接合体に光電極としての機能を付与するために、カーボンブラック担持Ptの代わりにCu-Ga-Se系やCu-Zn-Sn-S系のp型半導体粉末を用いる。この際、半導体粉末とカーボンペーパーの間の抵抗が問題となるため、1半導体粉末の担持方法やホットプレス条件等を詳細に検討するとともに、微量の金属膜をスパッタリングするなどして導電性の改善に努める。 この他、有機ハイドライドのエネルギーキャリアとしての実用化とp型半導体の応用法開発を目指して有機ハイドライドの脱水素化に有効なアノード材料の開発に取り組む。
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