2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02752
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂免 一成 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KALOUSEK Vit 東京大学, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機ハイドライド / 水素 / 光電極 / 太陽エネルギー変換 |
Research Abstract |
水素は液化しにくい気体であり輸送や貯蔵に問題がある。このため、メチルシクロヘキサンなどの有機ハイドライドに変換し、水素キャリアとして輸送や貯蔵をすることが有力視されている。金属メッシュを膜・電極接合体として用いると性能やプロセス性に問題があるため、金属メッシュを使用しないより汎用的な膜・電極接合体と光電気化学系の開発に取りくんだ。 カーボンブラック担持白金をカーボンペーパーにスプレーした電極をカソード、n型半導体であるSrTiO_3 : Nb単結晶をモデル半導体光アノードとして、光照射での光電気化学的な有機ハイドライドの直接生成に関する検討を行った。光電気化学セルの形状や生成物の定量システムを改良した結果、SrTiO_3 : Nb単結晶を光励起することにより膜・電極接合体上でトルエンがメチルシクロヘキサンに継続的に変換される様子が観察された。二電極測定で印加電圧を加えずに光照射したところ、2時間以上0.12mA cm^<-2>の光電流が観察された。生成物を定量した結果、トルエンのメチルシクロヘキサンへの水素化に対するファラデー効率は97.2%であり、光電流がほぼすべてメチルシクロヘキサンの生成に利用されていることが確かめられた。本研究は光のエネルギーだけを用いてトルエンからメチルシクロヘキサンを生成した初めての系であり、研究成果を論文に投稿している。一方、膜・電極接合体を介してトルエン相が水相にリークする問題がしばしば見られた。ホットプレス法により膜・電極接合体を作成すると、イオン交換膜に微小な亀裂が入り流体がリークしやすくなることが様々な比較実験により示唆された。ホットプレス法を用いずにアイオノマー溶液の量を調整することでリークを抑制することを試みたが、トルエン相を十分に封止できず、根本的な解決には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属メッシュを用いずに作製した膜・電極接合体をカソードに、n型半導体光電極をアノードに用い、光のエネルギーのみを用いてトルエンをメチルシクロヘキサンに水素化する方法を実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光応答性光触媒材料である窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体を光アノードとして用いて可視光照射下でのトルエンの水素化反応の活性向上を目指す。活性の向上には水素発生やトルエンの水素化電位近傍での光電流値を向上させる必要があり、窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体の光アノード電流開始電位付近での光電気化学特性を詳細に解明する必要がある。具体的には光電極の作製には粒子転写法を用いる。裏面電極や助触媒の材料を検討し、窒化ガリウム酸化亜鉛固溶体との界面のバンド構造を制御することで、印加電圧を加えない状態での光電流値を向上させることを試みる。
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Research Products
(1 results)