2014 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中の亜鉛と根の酸化鉄プラークの相互作用がイネの亜鉛吸収に及ぼす影響
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12F02761
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
Wissuwa Matthias 独立行政法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, その他 (90442722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLAFF Salirian 独立行政法人国際農林水産業研究センター, その他部局等, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 溶液培養鉄プラーク実験 / 成長制限因子 / 亜鉛摂取 / 植物バイオマス / 遺伝子型差異 / 低亜鉛土壌 / X線回析データ / 亜鉛の強力結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
主な実験は溶液培養鉄プラーク実験であった。実験条件下で亜鉛は意図したとおり主な成長制限因子であった。根周辺の鉄プラークが亜鉛摂取にもたらす影響は、溶液中の亜鉛の濃度によって異なった。亜鉛濃度が低い場合(亜鉛欠乏)には、鉄プラークの存在によって亜鉛摂取が阻害されず、プラーク内の亜鉛結合は不可逆的に猛烈なスピードで発生しないことが示唆された。亜鉛供給量が多いと、鉄プラークの存在によって亜鉛摂取と植物バイオマスが増加し、特に亜鉛欠乏に敏感な品種Kinandang Patongでその傾向が強く見られた。これは予想外の結果であり、プラークは文献で仮定されたようなバリアではなく、むしろ亜鉛の貯留層として機能し得ることが示された。現場の水田土壌の減弱した状況下においてはすべてのイネが鉄プラークを形成しており、この研究を駆り立てる一つの仮説として、遺伝子型によって根からの酸素の漏れが異なる可能性があり、これによって根周辺の鉄プラーク形成の程度が決定づけられると考えられた。酸素の放出によって一般に亜鉛の溶解度が高まるとされる一方で、その効果はプラークに閉じ込められた亜鉛に相殺されていた可能性がある。研究結果から、この亜鉛の捕捉は予想されたほどマイナス要素ではないことが示唆されている。ゆえに根からの酸素の漏れは全体としてはプラスに考えられ、低亜鉛の土壌で栽培した場合にはその点で遺伝子型差異が生じるという仮説を今後の研究で検証したい。 フィリピンから輸入した低亜鉛土壌の特性解析から、植物給性の亜鉛は少なかったが亜鉛全体では決して少なくなかったことが示唆された。よって一部の土壌成分で亜鉛が沈殿していたことが予想され、生成されたX線回析データからどの土粒子が亜鉛の強力結合の原因となるかの手掛かりが得られるだろう。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)