2012 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能性に対する気候変動の影響評価:都市・農業生態系
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12F02778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 和彦 東京大学, サステナビリティ学連携研究機構, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOEL Roychowdhury 東京大学, サステナビリティ学連携研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | 土地利用・土地被覆変化 / 農業生態系 / 都市化 / リモートセンシング / レジリエンス |
Research Abstract |
本研究は農業生態系と都市部における生物多様性の保全とニーズの不一致について焦点を当てる。最も明確に可視できる都市化と農園の拡大の影響は、土地利用と土地被覆の変化である。農業の近代化は多様な農業生産システムから単一作物栽培への変貌に導いており、このことは種の絶滅や水・原料サイクルの変化を招く生物多様性に影響を与えている。本研究は地方の生産システムと都市部居住におけるレジリエンスのシステムへの影響を観察・予測することで土地被覆変化の量的評価に焦点を当てる。また、環境意識はいかなる分析においても重要である。本研究は緑地と生物多様性の減少と居住地と生産システムの持続可能性にかかわる開発の影響を露わにする。 本年度の研究の詳細は以下の通りである。 1.研究分野の特定:本研究の初期段階は研究地域の特定であった。農業生産システムにおける変容を評価するため、中国雲南省のハニ棚田とフィリピンのイフガオ棚田を選定した。 2.データ収集:土地利用・土地被覆の変化を分析するため、衛星画像を収集した。1997年から2011年に渡るランドサット衛星画像をダウンロードした。研究地域のより明確な観測を行うため、雲の無い衛星画像を選定した。 3.データ分析:特殊化されたソフトウェア(Arc Info,Erdas Imagine and ENVI)を使用して、衛星画像にデジタル処理を行った。10セットの衛星画像から、年代別(1999年と2011年)の2つの画像における観察を行った。これらのデータセットは初期分析のため分別し、これによって10年以上を経た変容が観測できることになった。 4.現地調査:中国南西部の雲南省のハニ棚田において現地調査を行った。現地調査によって、農業生態系の観測を実際に行うことができた。また、森林と棚田に隣接する境界の生態系の特定に役立った。加えて、地域の水塊、灌漑システム、社会経済、現地の文化、生息する様々な種の特定にも役立った。今回の現地調査は衛星画像から得た結果のより良い分析に役立つであろう。 研究成果: 1.高地地域における植生変化の研究のためにはリモートセンシングが効果的に活用できる。 2.ランドサットデータは一時的な変化を研究する際に使用できる。 3.研究地域において、植生と居住地に顕著な変化が見られた。 上記の研究に加えて、国連大学サステイナビリティと平和研究所において研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、データの質の問題、研究地域の評価、現地調査等初期の計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画: 1.高画素の衛星・航空画像を選定し、作物と土地利用パターンの変化を調査する。データセット収集し、分析を行う。2.研究地域における頻度の高い一時的変化検出を行う。3.ランドサットデータにおけるストライピングエラーを無くすための研究を行う。この研究過程で主なデータ分析を行う。4.数値標高モデルの産出と勾配解析を行う。5.気候の生態系への影響を評価するため、気候と降水データを統合する。6.研究地域において地滑りが起こりやすい地域の特定と分析を行う。7.中国とフィリピンにおける社会経済データと米生産データを分析する。8.フィリピンのイフガオ棚田に現地調査に赴く。9.研究成果に関する学会・学術雑誌での発表を行う。
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Research Products
(1 results)