2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02780
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
樽井 正義 慶應義塾大学, 文学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MEILINGERBRAND Cordula 慶應義塾大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 人格 / 自己 / 胚性幹細胞研究 / 人間 / 人格同一性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本における倫理判断に関わる間主観的な理解の在り方を明らかにすることにある。日本の社会におけるいわゆる集団主義的特徴を、倫理学の議論のなかに指摘することができるのか、わけても応用倫理学の議論において、文化的背景によって説明される立場による相違を見いだすことができるのかが検討の対象となる。 この目的のために、平成24年度後半には、第一段階として、胚性幹細胞をめぐるドイツと日本における生命倫理学の関連文献をレビューすることを通じて、胎児の道徳的地位および「ヒトhuman being」と「人格person」の概念に関して、日独における異同を明らかにすることを試みた。またこれと並行して、文献研究を補うために、日本の生命倫理学の研究者に面接し、これらの概念の理解に関して意見を交換した。 日独に共通することとして、人格概念を段階的に捉えようとするのを避けようとする志向を指摘することができる。ドイツにおける胎児を巡る議論では、キリスト教的文脈に、あるいはカント哲学に依拠して、その絶対的不可侵性が主張されている。日本の議論においても、カントにおける尊厳、目的と手段の概念への言及が見られるが、人間の生命の萌芽という表現もしばしば使われている。こうしたことから、ヒトと人格の関係については、両者を区別することは共通しているが、日本の議論ではその区別が和らげられていると見ることができる。 この研究の成果は、胎児概念については英文で、人格概念に関しては独文で論文にまとめ、公刊が進められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
文献レビューと研究者への面談は、計画通り順調に進められた。その成果を、当初は一つの論文にまとめる予定であったが、さらに一つ追加することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度前半においては、本研究の第二段階へ進む。これまでに明らかにしたヒトと人格の概念に関する理解を、より広い関連において検討する。その際に、西田幾多郎における自我と和辻哲郎における人間の概念について言語分析的に考察するとともに、社会・文化心理学の研究をも援用する。
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Research Products
(3 results)