2012 Fiscal Year Annual Research Report
偏微方程式の超局所解析理論の精密化と、その力学系理論への応用
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12F02782
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 芳則 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WITTSTEN JensS. 京都大学, 人間・環境学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 力学系 / 超局所解析 / フーリエ積分作用素 |
Research Abstract |
部分的双曲力学系の摂動問題と重み付きラプラス作用素の上半平面ディリクレ問題について考察をした.前者の具体的な研究対象は,2次元トーラス上の中立的方向を1次元持つ部分拡大写像にランダムな摂動を与えた単純なモデルであるが,部分双曲的な力学系の多くの重要な性質を内包するものである.その分解された転移作用素に対する準古典近似におけるスペクトルギャップに関する情報を得たばかりでなく,力学系から引き起こされる分解された転移作用素の離散共鳴スペクトルについてもいくつかの結果をえた.転移作用素をフーリエ積分作用素で表示して,その引き戻し作用素との合成を擬微分作用素として評価し,準古典近似の理論を展開しているが,技術的な理由で摂動の枠組みで用いられる反復数に対する一様性が現在のところは未解決である.これを示すことができれば力学系摂動問題に対して,相関関数の指数的減少に関する剛性など重要な安定性の結果を与えることになり,双曲力学系のエルゴート的不変なSinai-Ruelle-Bowen(SRB)確率測度の確率安定性とその混合性の解析に新たな視野を切り拓くものである.重み付きラプラス作用素の上半平面ディリクレ問題については,ポワソン核によるexplicit(明瞭)な解表示を得た.このディリクレ問題は,リスク管理への応用があるドリフト項をもつ双曲型ブラウン運動と関わりをもち,解の一意性が成立すれば,解はポワソン核表示されたものだけであり,explicitな解表示は実用上重要である.同問題の実対称部分に対するディリクレ問題の解の一意性は明かとなったが,一般の場合は,今後の検討課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年11月からの外国人特別研究員の入国により研究を着手したが、力学系エルゴート理論的性質を記述する、転移作用素のスペクトル構造解析については、簡単なモデルに対し超局所解析理論を適用することが可能となった。2重特性をもつ擬微分作用素の可解性の問題については、最近の研究動向を精査している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
超局所解析理論を適用した準古典近似において,展開のパラメータ依存性を把握するため作用素論的手法を検討し,また国内外の研究集会に参加する共に海外の研究者との研究討論から専門的な知識の提供を受ける.
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Research Products
(2 results)