2013 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞に特異的に発現する201Rik 遺伝子の液性免疫に果たす役割の解明
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12F02784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷 耕二 東京大学, 医科学研究所, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Yingqian 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | B細胞分化 / B細胞活性化 / 抗体産生 / 免疫応答 |
Research Abstract |
本年度は201Rikノックアウトマウスにおける抗体産生について詳しい解析を行い、以下の結果が得られた。1)T依存性抗原NP-Chicken γ-globulinをアジュバントのalumと共に腹腔に投与したところ、対象マウスに比べ、IgGの産生が概ね正常だったのに対し、NP特異的IgMの産生が顕著に低下していた。一方、T非依存性抗原NP-LPSを腹腔に投与したところ、対象マウスに比べ、NP特異的IgMとIgG3の産生が共に顕著に低下していた。さらに、OVA抗原をコレラ毒素と共に経口投与した場合、血中のOVA特異的IgAの産生が増加していた。これらの結果から、201Rikは外来抗原に対する正常なIgM、IgG3及びIgAの産生に重要な役割を果たしていることが示された。In vivoにおけるIgMの産生低下の原因を探るために、201Rik欠損及び対象マウスの脾臓より、follicular B及びmarginal zone B細胞をcell sorterを用いて分離し、様々な培養条件下での抗体産生について調べた。その結果、201Rik欠損follicular B細胞では、IgM及びIgGの産生が共に正常であった。これに対し、201Rik欠損marginal zone B細胞では、IgGの産生が正常であったのに対し、IgMの産生が顕著に低下していた。さらに、201Rik欠損marginal zone B細胞がin vitroで正常に抗体産生細胞(AFC)に分化するが、個々の抗体産生細胞の分泌する抗体量が顕著に減少していたことが判明した。これらの結果から、201Rikは、marginal zone B細胞が抗体産生細胞に分化した後、IgMの分泌を促進する役割を果たしていることが明らかとなった。201RikがIgMの分泌のみ特異的に促進する分子機構について、更に解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、計画していた実験は全て順調に進み、かつ当初の計画になかった免疫応答及びB細胞亜集団の抗体産生能についても調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
201Rik遺伝子の抗体産生に果たす役割が解明できた。今後、何故201RikがIgGの分泌に影響を与えないのに、IgMの分泌のみ特異的に促進するのかについて、解析を進めていきたい。これらの結果は、抗体産生取り分けIgM産生の異常を伴う免疫疾患を理解する上で、新たな視点を提供するものと考えている。
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Research Products
(2 results)