2012 Fiscal Year Annual Research Report
分界条床核における内因性カンナビノイドを介するシナプス伝達修飾に関する研究
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12F02794
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 方伸 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATO AKO 東京大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 内因性カンナビノイド / 興奮性ニューロン / 抑制性ニューロン / 逆行性シナプス伝達 / 分界条床核 / 2-アラキドノイルグリセロール / 脳スライス / マウス |
Research Abstract |
抑制性介在ニューロン特異的にGFPを発現するマウスとして、GAD67-GFP knock-in mouseを使用した。当初、理化学研究所からVGAT-Venus knock-in mouseを譲り受けて使用する予定であったが、先方のマウスの繁殖状況が芳しくなかったため、代わりにGAD67-GFP knock-in mouseを譲り受けたものである。このマウスから分界条床核を含む脳スライスを作製し、抑制性ニューロンをGFPの蛍光によって可視化して、興奮性ニューロンと区別して、パッチクランプ記録を行った。イオンチャネル型グルタミン酸受容体アンタゴニスト存在下で興奮性シナプス伝達を遮断した状態でニューロンの周囲を電気刺激して、抑制性シナプス後電流(IPSC)を記録した。抑制性ニューロンおよび興奮性ニューロンに脱分極パルス(保持電位-80mVから0mVへ2秒間)を100msの-80mVへの過分極を挟んで5回与えたところ、一過性の逆行性シナプス伝達抑圧(Depolarization-induced suppression of inhibition:DSI)が生ずることを確認した。また、I-mGluRのアゴニストのDHPG(10 microM)によって、抑制性ニューロンには抑圧が起こらなかったが、興奮性ニューロンには抑圧が起こった。平成25年度の研究に備え、主要な内因性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)の合成酵素diacylglycerol lipase α(DGLα)と2-AGの受容体であるCBI受容体のノックアウトマウスとGAD67-GFP knock-in mouseの交配を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抑制性介在ニューロン特異的にGFPを発現するマウスとして、当初、理化学研究所からVGAT-Venus knock-in mouseを譲り受けて使用する予定であったが、先方のマウスの繁殖状況が芳しくなかったため、代わりにGAD67-GFP knock-in mouseを譲り受けたものである。GAD67-GFP knock-in mouseを用いて、電気生理学的解析はほぼ順調に進行した。また、DGLαおよびCB1受容体のノックアウトマウスとGAD67-GFP knock-in mouseの交配も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に、VGAT-Venus knock-in mouseを入手できることになっている。このマウスも、DGLαおよびCB1受容体のノックアウトマウスと交配を開始する。今後は、GAD67-GFP knock-in mouseに加え、適宜VGAT-Venus knock-in mouseを使った解析を進め、両者で同じ結果が得られることを確認しながら研究を進める予定である。
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