2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川勝 英樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALLAIN Pierre 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / フィールドイオン顕微鏡 / 振動子 / 組成 |
Research Abstract |
本課題においては、人工の微小振動子などのトップダウンで作製した振動子と、分子やグラフェンなどの、ボトムアップの自己組織化を用いたボトムアップの手法により作製したものを振動子として用い、その振動の変化から質量や場の計測を行うことを最終の目的とする。振動子のミクロン以下の小型化を念頭に置き、光学的手法を敢えて行わず、エミッションによる計測の可能性を探っている。 今年度は、FIM(フィールドイオン顕微鏡)にTOF(飛行時間計測)機能を付与し、エミッターからの各種エミッションの飛行時間計測系を構築した。微小振動子の作製に関しては、銅フタロシアニンのエミッターへのその場固定には失敗し、課題を継続している。 プラチナ探針の作製に関しては、文献を参考に先端半径が数10ナノメートルのものの作製に成功した。フィンランドVTT研究所のKainlauri Markku氏と共同して同研究所が確立した銅基板へのグラフェン成長方法をプラチナ探針に適応し、SEM観察を通じて、探針先端にフレーク状の物体が成長していることを確認した。現在、コンタクトモード原子間力顕微鏡を用いて、成長した層の層数を計測している。なお、グラフェンは先端半径の比較的小さいプラチナ探針に貼付いており、斑をなしており、端部にカンチレバー状に突出することは無かった。 特別研究員のアラン君は、平行して、振動子による場の計測の理論計算を行っており、原子間力顕微鏡より得られた表面数オングストローム近傍のフォースカーブの解析と化学組成同定の可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
振動子を固定する金属探針の作製において、タングステン、金、タングステンに金を蒸着したものを試したが、それらの分子の修飾のしやすさや金属のモビリティに問題があり、対策としてプラチナ探針を用いることとした。プラチナ探針の作製方法の最適化に数ヶ月を要し、課題が遅れる一要因となった。エミッターへの各種分子のその場修飾は実験の追試性や、分子の吸着位置の同定のために極めて重要である。ノズルから微小な量の修飾分子を試料準備室に導入し、そこに固定した探針を修飾することを試みたが、蒸着量を少なくする工夫を継続する必要がある。グラフェンの成長に成功したが、曲面に張り付いており、片持ち構造にする必要が有る。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフェンやフタロシアニンを基板や金属探針先端の法線方向に固定する方法を、電界の引加や表面のステップの応用を通じて実現する。エミッターのその場修飾に付いては、電要な課題であり、その波及効果も高いため、ノズルからの導入の制御に加え、光による表面加熱により、一時的に表面に捕捉した分子を微小量真空中に放出し、その一部を電界でエミッターに導く方法を実験する。微小振動子を用いたフォーススペクストロスコピーの可能性については継続して研究を進め、スキンデプス内の10pmオーダの振動や、作動点の位置変調を通じた新しい計測の可能性を実験と計算で検証する。
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Research Products
(3 results)