2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマノイドによる支援機器評価のための人間動作模擬と再現
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12F02803
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 英一 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 連携研究体長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOULARD Thomas 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 人間動作解析 / 非線形最適化 / ヒューマノイド / 動作再現 |
Research Abstract |
平成24年度は、ヒューマノイドによる人間動作模擬のための基盤理論を整備した。人間動作のようにデータ量が多く複雑で、周期的・非周期的な時間変化をするデータをヒューマノイドで再現するため、最適化手法を用いたリターゲッティング法について研究を行った。主成分分析や統計的解析手法を検討したうえ、このリターゲッティング問題を、適用範囲が広く、ロボットのさまざまな制約を考慮できる非線形最適化手法として定式化することとした。まず、特別研究員が開発してきた数値最適化を行うソフトウェアの枠組みである「RobOptim」を拡張し、ヒューマノイドの軌道など大きなデータを最適化する際に扱う必要が生じる「疎行列」を用いた、非線形最適化手法を解く機能を整備した。この枠組みを利用して、現在利用可能なさまざまな非線形最適化手法とそれが実装されているソフトウェアを利用できるインタフェースを構築した。次に、人間動作のヒューマノイド動作への変換を、この枠組み上で非線形最適化問題として定式化した。最適化の評価関数として、モーションキャプチャによる人間動作のマーカのデータとヒューマノイドの全身姿勢の幾何的な類似度を、手や足など主要部分のラプラス座標系における距離として定義した。協力関係にあるデジタルヒューマン工学研究センターでこれまでに測定した、歩行や持ち上げ動作などの人間動作データを用いて、この手法が基本的に機能することを確認した。また、RobOptimの枠組みについて論文にまとめ、日本機械学会・ロボティクス・メカトロニクス講演会2013に投稿した。2012年11月~12月にかけて開催された、IEEE-RAS International Conference on Humanoid Robotsに参加し、最新の研究動向について調査を行い、ヒューマノイドの動作生成に最適化方法が適用されてきていることが認められ、研究者らとの議論を通して本課題の方向性について有用な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人間動作のヒューマノイドによる再現という課題を解決するための理論基盤の整備が目的であり、非線形最適化を用いることとし、枠組みの構築を開始できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、人間動作とヒューマノイド動作の幾何的な類似度を評価指標とした定式化を行ったが、実際にロボットで再現するには、機械的・動力学的な制約を考慮する必要がある。動力学モデルをこれまで構築した非線形最適化手法に統合し、動力学的にも人間に近い動作の再現を目指す。また、今後さらに人間動作測定を行い、さまざまな動作に適用して、まずシミュレーションにより検証する。その後、ヒューマノイドロボットHRP-4Cにより実験的に手法の有効性を確認する。
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